2012 Fiscal Year Annual Research Report
手指複雑動作課題遂行時における皮質間抑制回路の動態
Project/Area Number |
11J05971
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
守下 卓也 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Fine-motor manipulation task / 経頭蓋磁気刺激法 / 皮質間抑制回路 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation : TMS)を用いて、手指を用いた複雑な動作課題遂行時の皮質間抑制回路(interhemispheric inhibition : IHI)の動態について明らかにすることである。本研究では複雑な動作課題として箸を用いたガラス玉の反復把持移動動作課題(fine-motormanipulation task : FM task)を研究課題として用い、24年度はこのFM task遂行時のIHIの左右差についての研究が、日本運動生理学会の英文誌Advances in Exercise and Sports Physiologyへの掲載が決定した。この研究はFM task遂行時のIHIが非利き手を用いて行っている時のみに変化するといった知見を示した研究であり、前年度国際誌Joumal of Neurophysiologyに掲載された研究の一部の再現性が確認された研究でもある。24年度は主にこのFM taskをトレーニング課題として用い、トレーニングの「前後」で、動作肢から見て同側の一次運動野の興奮性の指標となる運動誘発電位(motor evoked potential : MEP)の振幅の変化を観察する研究を行った。つまり動作を支配している対側の運動野ではなく同側、スポーツの場面に例えると「左手で練習すると右手側にどのような変化が生じるか」、ということに焦点を当て検討を行った。この研究ではMEPの他に短潜時皮質内抑制回路(short-interval intracortical inhibition : SICI)やIHIなどの抑制回路の変化についての計測も行っており現在は3つ目の実験まで進行している。この研究は25年度中に発表する予定である。同時進行の研究としてFM task遂行時の他の運動関連領域(運動前野)からのIHIに変化が生じているかについての研究も行っている。24年度は2度の国内学会での発表、1度の国際学会での発表を行った。また24年9月に岐阜で開催された体力医学会の前日に開催された研究会「筋電図の会」では演者を務め、当核分野の研究者から多くのコメントを頂くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は4つの実験を行なった(1つにおいては現在も進行中)。研究課題「手指複雑動作課題遂行時の皮質問抑制回路の動態」を明らかにするために25年度はもう一つさらなる実験を行う予定である。実験の進行により新たな着想も生まれ、それらについては新たな検討方法を模索している最中でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は現在おおむね順調に進展している。3年目に計画している3連発刺激の実験は、実験機材の調達の問題上困難な可能性があるが、できる限りの実現を目指していく。前年度に国際誌Joumal of Neurophysiologyに掲載が決定した研究から新たな着想が生まれ、現在は新たなステップとしてこのアイディアを検討する実験の為に外部研究機関とコンタクトを取る予定を立てている最中である。
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