2013 Fiscal Year Annual Research Report
微小管結合タンパク質Alp14の機能解析及び細胞周期依存的な局在変化機構の解明
Project/Area Number |
11J06026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 直幸 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2014-03-31
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Keywords | 微小管 / 細胞周期 / 微小管結合タンパク質 / CDK |
Research Abstract |
私はスピンドル微小管が形成されるメカニズムの解明を目指し、微小管結合タンパク質の局在制御機構に注目した。分裂酵母の微小管結合タンパク質であるAlp7-Alp14複合体は分裂期に核蓄積し、スピンドル微小管形成に寄与する。私はこの核蓄積がいかに達成されるのか解析を行った。 前年度までに、Alp7-Alp14の分裂期核蓄積にAlp7のCDKによるリン酸化が重要である示唆的なデータが得られ、そのリン酸化候補アミノ酸を特定した。この5箇所を非リン酸化型に置換したalp7-5A変異体を取得し、Alp7-5Aの分裂期核蓄積が観察されないことを確認していた。 本年度は、まず5Aタンパク質にNLS(核輸送シグナル)を付加したところ、5A変異体で観察された温度感受性が抑圧され、分裂期の障害はAlp7が核蓄積しないことに起因することが証明された。続いて生体内でリン酸化が起きるのか確認するため、野生型および変異体細胞よりAlp7, Alp7-5Aタンパク質を抽出し、泳動およびウエスタンブロッティングによりそのバンドシフトの有無を確認した。この結果、分裂期抽出液中のAlp7はリン酸化と思われるバンドシフトが見られたが、間期のAlp7はバンドシフトが確認されなかった。またAlp7-5Aにおいては間期、分裂期ともにバンドシフトは検出されなかった。すなわち、Alp7の5箇所のリン酸化候補残基は生体内でもリン酸化を受けていた。このリン酸化の意義を追究するため、核輸送担体であるCut15とAlp7およびAlp7-5Aの相互作用の検出を出芽酵母ツーハイブリッド法により試みた。この結果、Alp7とCut15に相互作用が検出され、この相互作用はAlp7-5Aで低下していた。以上の結果から、Alp7がCDKによりリン酸化を受け、Cut15との相互作用を介して分裂期に核蓄積し、スピンドル微小管形成を補佐することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂期のスピンドル微小管形成の重要な因子であるAlp7複合体の分裂期核蓄積のシステムを、分子レベルの制御で明らかにすることができた。目標にしていたAlp7-Alp14の分裂期特異的な核蓄積のメカニズムを明らかにできたことで、細胞周期と分裂期微小管形成がどのようにリンクしているのか、その一端を明らかにすることに成功したと言える。本年度が最終年度である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は現在までに明らかにされた局在制御機構の研究を成果としてまとめ、Molecular Biology of the Cell誌に投稿中である。今後の発展的課題としてAlp7のリン酸化状態に依存したCut15との相互作用を免疫沈降により検出することやAlp7-Alp14のSPB局在化およびSPB(酵母の中心体相同器官)局在の生理的意義について研究していくことが挙げられる。 Alp7のSPB局在化ドメインの探索は現在進行中であり、今後Alp7-Alp14の分裂期におけるSPB局在の生理的意義について明らかにできると考えている。本年度が最終年度である。
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Research Products
(3 results)