2012 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換え修復に関わる新規因子ヒトSPF45の機能及び構造解析
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11J06154
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀越 直樹 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 相同組換え修復 / SPF45 / RAD51 / ヌクレオソーム / H2A.Z |
Research Abstract |
生物のゲノムDNAは、紫外線やDNA複製エラーなどによって、日々さまざまな損傷を受けている。中でも重篤な損傷であるDNAの二重鎖切断損傷は、染色体の不安定化を引き起こし、がんや重篤な遺伝病の原因となるために速やかに修復される必要がある。DNAの二重鎖切断損傷を、遺伝情報を失うことなく修復する経路として、相同組換え修復がある。本研究では、ヒトSPF45タンパク質がDNA結合活性を有すること、相同組換え修復におけるDNA中間体構造であるHolliday junction DNAに優先的に結合することを示してきた。さらに点変異体解析からSPF45のDNA結合領域を同定した。また、SPF45が相同組換え修復タンパク質であるRAD51,RAD51Bに結合することを明らかにした。これらの結果から、ヒトSPF45が相同組換え修復に関与すること示してきた。真核生物における相同組換え修復は、ヌクレオソームを最小単位とするクロマチン構造上で起こる反応である。したがって、クロマチン上でのヒトSPF45の機能を解析するためにヌクレオソームを試験管内で再構成した。特に、二重鎖切断損傷部位に集積することが報告されているヒストンH2A.Zに着目し、H2A.Zを含むヌクレオソームを再構成し、その構造と機能の解析を行なった。生化学的解析および構造生物学的解析の結果、H2A.Zを含むヌクレオソームは通常のヌクレオソームと比較して、構造の安定性が著しく低下することを明らかにした。さらに、H2A.Zを含むヌクレオソームの立体構造から、構造不安定化に寄与するアミノ酸を同定した。これらの発見によって、今後クロマチン上でのSPF45の機能や、H2A.Zを含むヌクレオソームの相同組換え修復に及ぼす影響などの理解のために重要な知見が得られたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、相同組換え修復においてヒトSPF45のクロマチン構造上での機能を明らかにすることである。現在までに、ヒトSPF45が相同組換え修復におけるDNAの構造中間体であるHolliday junction DNAに優先的に結合することや、相同組換え修復タンパク質であるRAD51、RAD51Bと相互作用することを示した。さらに、DNAの二重鎖切断損傷部位に集積することが報告されているヒストンH2A.Zを含むヌクレオソームを再構成し、機能および構造解析を行なった結果、通常のヌクレオソームよりも非常に不安定であることが明らかにした。 したがって、クロマチン上でのSPF45の機能解析をする系の確立に成功したことから、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、クロマチン上でのSPF45の機能を解析するために、再構成したH2A、あるいはH2A.Zを含むヌクレオソームを用いて生化学的解析を行なう。さらに、相同組換え修復におけるSPF45の機能メカニズムを明らかにするために、SPF45、およびヌクレオソームのX線結晶構造解析を行なう。
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Research Products
(6 results)