2013 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換え修復に関わる新規因子ヒトSPF45の機能及び構造解析
Project/Area Number |
11J06154
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀越 直樹 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員DC1
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Keywords | SPF45 / 相同組換え修復 / ヌクレオソーム |
Research Abstract |
生物の遺伝情報であるゲノムDNAは、紫外線や放射線、さらには活性酸素やDNA複製のエラーなどによって日常的に損傷を受けている。その中でも放射線などによるDNAの二重鎖切断損傷は、遺伝情報を失う可能性が高いため速やかに修復されなければならない。遺伝情報を失わずに二重鎖切断損傷を修復する経路として相同組換え修復がある。本研究では、二重鎖切断損傷修復に関わる新規因子ヒトSPF45タンパク質の機能解析を、DNAを用いて行ってきた。しかし、真核生物のゲノムDNAは、核内タンパク質と結合したクロマチン構造を形成して細胞核に収納されている。このクロマチン構造の最小機能単位であるヌクレオソームは、4種類のヒストンタンパク質に約150塩基対のDNAが巻き付いた構造体である。ヒストンにはアミノ酸相同性の高い亜種が数多く存在し、特定のクロマチン領域に取り込まれている。DNAの二重鎖切断損傷部位には、ヒストンの亜種であるH2A.Zが局在することが報告されている。ヒトSPF45のクロマチン上での機能を明らかにするためには、損傷部位のクロマチン構造を再構築し、損傷部位特異的なクロマチン構造上での解析を行う必要がある。そこで、H2A.Zを含むヌクレオソームを再構成し、構造的特徴を明らかにした。その結果、細胞で最も発現しているヒストンH2Aを含むヌクレオソームと比較して、H2A.Zを含むヌクレオソームは不安定な構造を形成することが明らかになった。さらに、H2A.ZのL1 loopと呼ばれる領域に構造的特徴が観察された。これまで相同組換え修復におけるタンパク質の機能解析の多くは、裸のDNAが用いられてきた。解析基盤となるヌクレオソームの再構成技術の確立および性質を解明したことは、今後ヒトSPF45の機能解析を行う上で大変意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ヒトSPF45タンパク質の相同組換え修復における機能を明らかにすることである。相同組換え修復における機能解析の多くは裸のDNAを用いられてきたが、真核生物のゲノムDNAはクロマチン構造を形成している。特に、DNAの二重鎖切断損傷部位には、ヒストンH2A.Zを含むヌクレオソームが存在する。本研究ではH2A.Zを含むヌクレオソームを再構成し、その性質を明らかにしたことによって、真核生物の相同組換え修復における解析基盤を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究によって構築したDNAの二重鎖切断損傷部位に形成されるH2A. Zを含むヌクレオソーム上で、ヒトSPF45の機能を解析する。さらに、SPF45の二重鎖切断損傷部位への集積やゲノム上での局在について解析を行い、相同組換え修復におけるSPF45の機能を詳細に解析していく。また、SPF45が相同組換え修復タンパク質RAD51やRAD51Bと相互作用することを明らかにしたことから、今後SPF45と相同組換え修復タンパク質との結合様式をX線結晶構造解析によって明らかにし、SPF45の機能メカニズムを明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Structural polymorphism in the L1 loop regions of human H2A. Z. 1 and H2A. Z. 2.2013
Author(s)
Naoki Horikoshi, Koichi Sato, Keisuke Shimada, Yasuhiro Arimura, Akihisa Osakabe, Hiroaki Tachiwana, Yoko Hayashi-Takanaka, Wakana Iwasaki, Wataru Kagawa, Masahiko Harata, Hiroshi Kimura and Hitoshi Kurumizaka.
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Journal Title
Acta Crystallographica Section D
Volume: 69
Pages: 2431-2439
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Genetically encoded system to track histone modification in vivo.2013
Author(s)
Yuko Sato, Masanori Mukai, Jun Ueda, Michiko Muraki, Timothy J. Stasevich, Naoki Horikoshi, Tomoya Kujirai, Hiroaki Kita, Taisuke Kimura, Seiji Hira, Yasushi Okada, Yoko Hayashi-Takanaka, Chikashi Obuse, Hitoshi Kurumizaka, Atsuo Kawahara, Kazuo Yamagata, Naohito Nozaki and Hiroshi Kimura
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 3
Pages: 2436
DOI
Peer Reviewed
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