2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的ペプチド、タンパク質同定に向けた癌プロテオゲノミクスの創成
Project/Area Number |
11J06172
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
アテイーア シハタモハメド 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | Proteomics / Genomics / Bioinformatics / Cancer / Onco-proteogenomics / Mass Spectrometry / Hela Cells |
Research Abstract |
新規癌遺伝子の発見を目標として,プロテオミクスやトランスクリプトミクス,バイオインフォマティクスを融合した新規解析手法の開発を行った.まず,Ion-trap orbitrab質量分析器を用いて,Hela S3細胞(細胞質分画)のリン酸化プロテオームデータ(n=15)を構築し,さらに以前構築したHela S3細胞の網羅的なプロテオームデータ(Iwasaki et al,J Chromatogr A,2011)との統合を行った.次に6種の正常細胞について,IPI(International Protein Index)とSwiss-Protからタンパク質配列とRASV(Representative AS variant),ヒトゲノム配列(hg19)の各データを,Unigeneからcervix-ESTのデータを得た.また,4種の癌細胞について,UnigeneからHela-ESTとcervical-cancer ESTのデータを,COSMIC(Catalogue of Somatic Mutations In Cancer)からcDNA/タンパク質配列のデータを得た.そして,これら6種の正常細胞と4種の癌細胞の全てのデータを統合してComprehensive Database Array(CDA)を構築し,CDA中の全てのデータを対象としてMascot(version2.3)を用いた網羅的なMS/MSスペクトルのマッピングを行った.その結果,420の癌遺伝子候補がタンパク質配列と翻訳後修飾の情報と共に得られた.これらの候補のうち,418個の候補はCOSMIC等の既存のデータベースには登録されていない,新規の癌関連体細胞変異を含むものであった.これは本手法が新規癌遺伝子発見において非常に有効に働くことを示すものである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通りに研究を遂行する事ができた.昨年度中に三本の原著論文(全て筆頭著者かつ査読付き論文)が採択され,また,国際学会(SIVB2011,USA,招待講演)において一件の口頭発表を行った.さらに2012年5月にカナダにおいて開催される国際学会にて研究発表することが既に決まっている.現在も順調に研究が進行中であり,計画した通りに二カ年の研究活動を完結出来る見込みである.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに,所属するプロジェクトで使用する為の解析手法とソフトウェア,データベースの構築を完了した.そこで今後は,まず本手法を特定の癌細胞の解析に適用し,新規癌遺伝子発見を目的としたタンパク質解析を試みたいと考えている.そして順次,他の異なるタイプの癌細胞の解析に本手法を適用していきたいと考える.
|