2012 Fiscal Year Annual Research Report
非宿主抵抗性因子の単細胞系スクリーニングを用いた新規植物ウイルス抵抗性戦略の構築
Project/Area Number |
11J06256
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前島 健作 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 非宿主抵抗性 |
Research Abstract |
植物ウイルスは化学農薬による防除が不可能なため、近縁の品種や野生種との交配による抵抗性育種が主要な防除手段である。しかし、交配による育種は開発期間が長期にわたる上に、利用できる遺伝的リソースが交配可能な種に限られているため、ウイルスの素早く多様な変異に対応することができず、たびたび打破されてしまう。こうした状況の下、より強力で持続性のある新規ウイルス抵抗性戦略が希求されている。本研究では、非宿主植物からウイルスの複製を強力に抑制する「非宿主抵抗性因子」を単離することにより、全く新しい形の植物ウイルスの高度防除戦略を構築することを目的とする。 本年度は、昨年度同定した、植物ウイルスに対する非宿主抵抗性因子の性状解析をおこなった。まず、非宿主抵抗性因子をバイナリベクター中の35Sプロモーター下流に組み込んだ。続いて、アグロバクテリウムに形質転換し、植物においてGFP発現ウイルスとともに一過的に発現させた。その結果、ウイルス増殖の指標であるGFP蛍光が全く観察されず、ウイルス増殖が強く抑制されていることが示唆された。続いて、プロトプラスト化した植物細胞においても同様に遺伝子の一過的発現をおこなったところ、単細胞レベルでウイルスの増殖が抑制されることが示唆された。 続いて、非宿主抵抗性因子のプロモーター配列をクローニングし、レポーターアッセイをおこなったところ、非宿主抵抗性因子は植物の維管束周辺において強く発現することが示された。このことから、非宿主抵抗性因子はウイルスの筋部への侵入とそれに引き続く全身感染を防ぐことを本来の機能として持つことが示唆された。 また、その他に複数の植物ウイルスについて基礎的な性状を解析するとともに、感染性クローンの構築をおこなった。それらウイルスは、上記のような非宿主抵抗性の解析をおこなうためのツールとして利用できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、プロトプラストレベルでの機能スクリーニング解析と、植物体レベルでの機能解析を計画しており、そのいずれも達成できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の予定通り、非宿主抵抗性因子を宿主植物に導入することにより、非宿主抵抗性の応用を予定している。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] Construction of an infectious cDNA clone of radish mosaic virus, a crucifer-infecting comovirus
Author(s)
Komatsu K., Hashimoto M., Okano Y., Keima T., Kitazawa Y., Nijo T., Takahashi S., Maejima K., Yamaji Y., Namba S.
-
Journal Title
Archives of Virology
Volume: (印刷中)
DOI
Peer Reviewed