2012 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータトモグラフィを応用した三次元ドップラー温度・流速計の開発
Project/Area Number |
11J06299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 博士 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラズマ診断 / 非接触計測 / ドップラー計測 / イオン温度 / プラズマ流 / 逆問題 / コンピュータトモグラフィ / 磁気リコネクション |
Research Abstract |
プラズマから放射される可視光線スペクトルがドップラー効果を受けて波長シフトすることを利用して、プラズマの熱運動や流れを線スペクトルのドップラー幅・バルクシフトから調べる手法であるドップラー分光計測にコンピュータトモグラフィを応用し、プラズマ内部の局所イオン温度・流速分布計測を目指す本計画に関し、研究2年目となる平成24年度は、 [1]プラズマ流計測用の分光光学系の高精度化と光ファイバーバンドルのコネクタ切り替え仕様への改造 [2]イオン温度計測へのプラズマ流の影響を除去する再構成コードの開発 [3]MAST大型共同実験のための分光計測光学系の立ち上げ の三項目を実施した。項目1に関しては、より画素の細かいICCD(16um/pixel)の新調および、焦点距離1mの分光器3系統の整備を行うとともに、TS-4内部への集光系導入に際し不可欠となる、光ファイババンドルの改造工事を実施した(50分岐光ファイババンドルをFCコネクタで着脱可能なシステムに改造)。本計画におけるコンピュータトモグラフィの応用に関し、計算上の再構成精度はコンピュータシミュレーションにより検証済みであるが、実験への適用に関しては生データの高精度化が不可欠となる。特に、ドップラーシフトの基準線の較正誤差は偏り誤差を生むため、高精度化が不可欠である。項目[1]のアップグレードに伴い、二次元トロイダル流速計測が有意に機能することが可能となり3次元化の基盤となる生データの精度確保が確立された(Nucl.Fusion誌およびPFR誌に投稿中)。[2]に関しては、従来のスカラートモグラフィによるイオン温度計測では除去できなかった、速度分関数がベクトル場として積分される効果に対応するため、流速の再構成と同様、線スペクトルのモーメント(2次)を使用する仕様へとアップグレードを行った。[3]に関しては、昨年度購入したCODEVを用いて光学系の最適設計を行い、ダミーファイバーを用いることなく、また瞳で高NA光を切ることなく、クロストーク5%以下の高感度32チャンネルの分光計測システムを立ち上げることに成功した。4月より本システムは本格運用開始予定であり、世界初となるMASTにおける大型プラズマ合体実験のイオン加熱の空間分布を明らかにすることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MAST大型共同実験への応用に関し、MAST側の装置メンテナンスのスケジュールが半年以上大幅に遅れたことにより、昨年度の報告書では8月に予定されていた実験の開始時期が翌年度に持ち越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
MAST大型共同実験 完成した計測システムを運用し、世界最大のMAST大型プラズマ合体実験において、従来計測することのできなかったコア領域における、世界初の局所イオン温度計測を実施する。 新しいトモグラフィの開発 現在の2次元1成分ドップラー流速計の計測次元のアップグレードを開始する。TS-4内部への集光系導入に際し、装置擾乱を最小化するため、集光用光ファイバーとして、バンドル径10mm以下の10分岐小型光ファイバーバンドルを新規に導入する。
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Research Products
(9 results)