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2011 Fiscal Year Annual Research Report

新規ポリユビキチン鎖の構造および形成機構の解明

Research Project

Project/Area Number 11J06373
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

森本 大智  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

Keywordsユビキチン / アミロイド / せん断力 / 結晶化
Research Abstract

新規直鎖ポリユビキチン鎖の立体構造解析
ポリユビキチン鎖の鎖長・種類の違いによって生じる立体構造・物理化学的性質の違いを明らかにすべく解析を行なったところ、後述の3つの知見が得られた。これらは研究目的から考えて極めて本質的であり非常に新規性の高いものである。
鎖長依存的熱安定性低下
示差走査熱量測定解析により、直鎖ポリユビキチン鎖は鎖長が長くなればなるほどその熱力学的安定性が低下することが観察された。また、この現象はK48結合型・K63結合型についても観察された。これまでの研究でタンパク質のポリマーはモノマーに比べ熱力学的に安定になることが報告されており、今回の現象はこれと相反し、新規性の高いことが伺える。
ポリユビキチン鎖アミロイド様繊維形成
上述の解析により、ユビキチンのモノマーは熱変性に対し可逆であるのに対し、ポリマーは不可逆であることが分かった。そこで熱変性を経て得られた白色沈殿物を透過型電子顕微鏡により観察したところ100nm程度の繊維を形成していた。この繊維形成は鎖の種類や鎖長に依存性は無かった。さらに、繊維の二次構造を円偏光二色性スペクトルにより調べたところ、アミロイド繊維に特徴的なβ構造の割合の高い構造をしていた。加えて、これらの繊維はアミロイド繊維を染色する色素のひとつであるThioflavin Tと結合し、アミロイド様構造を形成していることが示唆された。
力学的応力による繊維形成
以上の結果より、鎖長が長くなればなるほど繊維形成しやすいことが考察できる。一方、鎖長が長くなればなるほど増加する物理化学的性質は分子異方性である。これらは何らかの関連性があると考え、次に異方性に直接影響を及ばす力学的応力(せん断力・流体力学的応力)を加え、繊維化が起こるか調べた。その結果、熱変性の時と同様の繊維化が確認出来た。これは、分子異方性の増加が分子変形・立体構造変化の誘起に関与していることを示唆する。
直鎖ポリユピキチン鎖形成E3リガーゼLUBACのポリユビキチン形成機構に関する構造学的研究
LUBACによる直鎖ポリユビキチン鎖形成機構の構造生物学的解明を目指し、高純度かつ大量試料調製法の確立ならびに結晶化を試みた。大量試料調製法の確立は成功し結晶化を行なっているが、解析可能な結晶は未だ得られていない。試料の最適化が必要で1あると同時に、2011年にHOIPとHOIL-1L以外のLUBACの新たな構成因子SHARPINが発見され、これら三者複合体にすることでより解析に適した結晶が得られることが期待出来る。現在、最適化・三者の結晶化に取り組んでいる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本年度、当初の計画を超える成果を挙げることができたと考えられる。ポリユビキチン鎖における鎖長依存的な熱力学的性質の解明は、本研究の目的を達成する上で極めて本質的かつ新規性の高いものである。さらに、ポリユビキチン鎖のアミロイド様繊維化は学際性の高い発見と言え、本研究が構造生物学にとどまらず分子生物学、流体力学に対し大いに影響力を与えると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

新規直鎖ポリユビキチン鎖の立体構造解析
本年度解明した知見に関し、さらなる定量的な物理化学的解析を行なう予定である。また、これらの現象はすべて試験管内での観察であるため、細胞内でも同様に観察されるかについて解析を行なっていきたいと考える。これらの解析が完了次第、学術論文として報告する予定である。
直鎖ポリユビキチン鎖形成E3リガーゼLUBACのポリユビキチン形成機構に関する構造学的研究
本年度、試料の大量調製方法を確立したが、優良な結晶はまだ得られていないため、さらなる試料調製方法・結晶化条件の検討を行なう予定である。

URL: 

Published: 2014-07-16  

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