2011 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母の遺伝子間相互関係と一細胞フェノームによる推計的表現型オントロジーの構築
Project/Area Number |
11J06399
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大貫 慎輔 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 画像解析 / 化学遺伝学 / CalMorph |
Research Abstract |
画像解析プログラムの開発 従来の出芽酵母用画像解析プログラムCalMorph(Ohya et al, 2005, PNAS)に比べて、出芽酵母以外の生物の画像も解析可能な汎用CaIMorphの開発に着手した。モデルとなる生物にはHaematococcus pluvialisを使用して、テストケースとなる顕微鏡画像の撮影を行った。40倍で撮影した画像を使用してカラー成分を主成分分析することで、細胞の縁を認識するアルゴリズムの開発を行った。また、ツボカビを判定して形態的特徴を定量するプログラムもβ版としてjavaで実装した。 主成分分析による多次元形態パラメータの再編成 CalMorphによって出力される501の形態パラメータは互いに相関する場合があるため、主成分分析を行うことで独立な形態パラメータに再編成することを考えた。パラメータ間の相関はパラメータの幾何学的な定義が類似している場合に加えて、互いに関連した細胞内のプロセスを反映している場合が考えられた。関連した細胞内のプロセスを反映しているパラメータをまとめるために、主成分分析を行うことで独立な形態パラメータに再編成することを考えた。関連した細胞内のプロセスを反映しているパラメータをまとめるために、細胞に複数の濃度で一つの薬剤を処理したときに同様に変化するパラメータを二段階の主成分分析で抽出する方法を考案した。形態変化を引き起こすことが知られている薬剤JBIR-19(Kozone et al., 2009, J. Antibiot.)を使用して関連した細胞プロセスを表すパラメータのセットを4つの成分に分解することに成功した。JBIR-19処理した形態データと野生型データの異なる二つのデータを使用して連続的に二段階の主成分分析を行った結果を論文にまとめ発表した(Ohnuki et al., 2011, FEMS Yeast. Res.)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、新たな画像解析アルゴリズムの開発と独立な形態パラメータの設定が研究全体の基礎となっているため、重要な位置を占めている。Haematococcus pluvialisの顕微鏡画像を用いて画像解析アルゴリズムを開発し、javaで実装したことで、複数の形態的特徴を定量するプログラムを作成した。また、高次元な形態パラメータを細胞プロセスごとにまとめ、幾何学的に独立したパラメータを抽出する手法を開発した。この技術は、条件依存的な細胞内の構造的変化を評価する汎用的な手法に基づいていることからドラッグスクリーニングなどで創薬に貢献するだけでなく、細胞内の構造的変化を引き起こす様々な条件に応用可能であることから、これまでに期待されでいた以上の多面的な条件でのオントロジー構築が期待できるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在開発中の新しいアルゴリズムをjavaで実義し、ベンチマークを行う予定である。 さらに幾何学的に独立した形態パラメータをベースにして、細胞のプロセスごとに形態オントロジーの構築を行うことを考えている。
|