2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J06445
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鎌江 優一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 概日リズム / 時計遺伝子 / マダラシミ / timeless |
Research Abstract |
本研究は、マダラシミの概日時計分子機構を明らかにし、昆虫時計分子機構の理解を進めることを目的としている。本年度は、1.Td'timの全長のクローニング、2.Td'timの発現リズムの解析、3.Td'timの機能解析及び、4.rev-erbの取得と機能解析を行い以下の結果を得た。 1.Td'timの全長のクローニング Td'timの断片から設計したプライマーとマダラシミ頭部から抽出したtotal RNAを用いてRT-PCRを行い、Td'timの全長を得ることに成功した。Td'timはショウジョウバエtim(Dm'tim)と同様にnuclear localization signal(NLS)、PER-1とPER-2領域及び、cytoplasmic localization domain(CLD)を持ち、これらの機能領域のDm'timとの相同性は12~83%であった。この結果からTd'timはDm'timと同様の機能を持つことが示唆された。 2.Td'timを肋の発現リズムの解析 リアルタイムPCRによりTd'timのmRNA発現量を検討したところ、Td'timは明期の終わりから暗期の始めにピークとなるリズムを示すことが明らかとなり、ショウジョウバエのmRNAの発現パターンと類似していた。この結果は、上記のTd'timがショウジョウバエと類似の機能領域を持つ点と共に、Td'timの発現制御機構がショウジョウバエに類似していることを示唆している。 3.Td'timの機能解析 Td'timの2本鎖RNA(dsRNA)を作成し、マダラシミの腹部に注射したところ30日以上に渡り恒暗条件下でのリズムが消失した。また、リアルタイムPCRにより注射した個体のそれぞれの遺伝子のmRNAレベルは有意に低下していた。これらの事実はRNAiがシミ時計遺伝子の機能解析に有効であることを示すと共に、Td'timがシミ概日リズムの形成に不可欠であることを示している。 4.rev-erbの取得と機能解析 Td'timと同様の手法で新たな時計遺伝子であるrev-erb(Td'rev-erb)のcDNAを取得した。この遺伝子は既に取得しているTd'cycの発現制御に関与していることが知られており、今後は詳細な機能解析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた全ての研究に着手することができ、Td'timに関しては論文にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、クローニング及び、機能解析が不十分な時計遺伝子を中心に研究を進めたい。また、時計細胞の同定や、抗体作成を行い、タンパク質レベルでの検討も行う予定である。さらに、得られた結果を総合し、マダラシミにおける時計分子機構の仮説を提出したいと考えている。
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