2013 Fiscal Year Annual Research Report
新型超高分解能レーザー光電子分光の開発とノードを持つ鉄系超伝導体の研究
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11J06478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大田 由一 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2014-03-31
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Keywords | 光電子分光 / 鉄系超伝導 / 極低温 |
Research Abstract |
(1)装置の低温化・高分解能化 23,24年度の研究において冷却性能1K、最高分解能70μeVを達成し、25年度は物性研究を中心に行ったため更なる低温化・高分解能化は行っていない。 (2)鉄系超伝導体Ba1-xKxFee2As2オ-バードープ試料の超伝導ギャップ異方性の観測 23,24年度の研究成果から、鉄系超伝導体Ba1-xKxFee2As2のオーバードープ領域においては、わずかなKドープ量の変化によって観測される超伝導ギャップ異方性が劇的に変化することを解明した。25年度はこのオーバードープ領域における超伝導ギャップ異方性の変化をより詳細に研究し、この系においては、鉄系超伝導体の非従来的な超伝導機構として提唱されているスピン揺らぎを媒介とした超伝導機構と軌道揺らぎを媒介とした超伝導機構の両方が重要であることを示した。 (3)重い電子系超伝導体CeCoIn5の超伝導ギャップ観測 昨年度までの装置開発の結果、十分な冷却性能と分解能を達成したので、重い電子系超伝導体CeCoIn5の超伝導ギャップ観測を試みた、結果、フェルミ面依存性のある異方的な超伝導ギャップの観測に成功した。 (4)8eVレーザーの導入 我々の研究グループは、東京大学物性研究所小林研究室との共同研究で、8eVレーザーの開発を行っている。昨年度は、(1)の7eVレーザーを用いた新型装置に8eVレーザーを組み込んだ。今年度は、この8eVレーザーを用いて、鉄系超伝導体Ba1-xKxFee2As2のブリルアン・ゾーンコーナー近傍にホールポケットの観測を試み、結果、フェルミ面及びその超伝導ギャップ観測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に挙げていた、目標は、①新型装置の低温化・高分解能化とそれによる極低温超伝導体の物性研究・②鉄系超伝導体Ba1-xKxFee2As2の物性研究・③8eVレーザーの導入である。①に関しては冷却性能1K及び最高分解能70μeVを達成し、ターゲットにしていたウラン化合物や重い電子系超伝導体の超伝導状態観測に成功した。②に関してはこの系が持つユニークな超伝導機構を明らかにした。③に関しては、8eVレーザーを用いて角度分解光電子分光が可能な状態となっており。目的としていたものは全て達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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