2011 Fiscal Year Annual Research Report
in vivo花粉管伸長パターンの可視化を基盤とした植物多精拒否の順遺伝学的解析
Project/Area Number |
11J06526
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸山 大輔 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 卵細胞 / 中央細胞 / 助細胞 / 単独受精 / 花粉管 / 多精拒否 |
Research Abstract |
^<12>C^<6+>重イオンビームの照射により変異を誘起した1,691のM_1個体から,受精後の花粉管誘引の停止に異常を示すhi71変異体を分離した.野生株との交配実験から,hi71は雌性配偶体側に原因があることが示唆された. 一方で二本目の花粉管誘引停止の引き金となる受精過程を特定するため,卵細胞または中央細胞の片方とのみの受精,すなわち単独受精を引き起こす変異体について解析を行った.その結果,卵細胞と単独受精をした胚珠も,中央細胞と単独受精をした胚珠も,2本の花粉管を受容した割合が有意に高いことが示された.したがって,卵細胞と中央細胞の両方の受精が二本目の花粉管誘引停止の鍵シグナルとして機能することが明らかとなった.さらに卵細胞や中央細胞の機能異常を示すような変異体が,二本目の花粉管誘引停止についても異常を示すのかどうか検討したところ,中央細胞や胚乳のにおいて特異的に機能する,あるエピジェネティックな制御因子の変異体が有意に高い割合で2本の花粉管を受容することが示された.これらの結果は,被子植物の二本目の花粉管誘引停止の細胞生理学的特徴が明らかにするだけでなく,分子機構の理解に繋がる重要な成果と考えられる. さらに,重複受精に失敗した胚珠が二本目の花粉管を誘引するという観察から,笠原竜四郎博士による「二本目の花粉管が一本目の花粉管の受精の失敗を補う現象」の発見に繋がった.通常は高確率で成功するシロイヌナズナの受精に隠され,今まで明かされなかった「受精補完作用」を発見した成果は,昨年度末にCurrent Biology誌への掲載されることが決まった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず,二本目の花粉管誘引停止に必要とされる受精過程を明らかにすることができた.さらに,予想外にも二本目の花粉管が一本目の花粉管の受精の失敗を補う現象の発見に一部貢献することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
助細胞の花粉管誘引停止を引き起こすために受精した卵細胞と中央細胞から発生するシグナルの実体を明らかにする.
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Research Products
(2 results)