2012 Fiscal Year Annual Research Report
in vivo花粉管伸長パターンの可視化を基盤とした植物多精拒否の順遺伝学的解析
Project/Area Number |
11J06526
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸山 大輔 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 卵細胞 / 中央細胞 / 助細胞 / 単独受精 / 花粉管 / 細胞融合 / 細胞死 |
Research Abstract |
二本目の花粉管誘引停止の引き金となる受精過程を特定するため,卵細胞または中央細胞の片方とのみの受精,すなわち単独受精を引き起こす変異体について解析を行った.その結果,卵細胞と中央細胞の両方の受精が二本目の花粉管誘引停止の鍵シグナルとして機能することが明らかとなった.さらに卵細胞や中央細胞の機能異常を示すような変異体が,二本目の花粉管誘引停止についても異常を示すのかどうか検討したところ,中央細胞や胚乳のにおいて特異的に機能する,あるエピジェネティックな制御因子の変異体が有意に高い割合で2本の花粉管を受容することが示された.これらの結果は,Developmental Cell誌に掲載される. 今年度は主に花粉管誘引停止を引き起こす細胞学的な実体を明らかにするために,受精後の胚珠のライブイメージングを行った.その結果,驚いたことに受精した中央細胞,すなわち胚乳が花粉管を受容しない方の助細胞(残存助細胞)と細胞融合することが明らかとなった.この融合現象は,残存助細胞の内容物を急速に胚乳へと吸い出すことで機能低下を引き起こすだけでなく,助細胞核崩壊にも深く関与することが示唆され,残存助細胞死の重要な過程であることが明らかとなった.現在までに,コンセンサスが得られている被子植物の細胞融合現象は,卵細胞または中央細胞が精細胞と融合する重複受精しか知られていなかった.今回の発見は被子植物の生活環における第三の細胞融合現象である.また,この現象を細胞死の観点からみると,細胞融合の後に一方の核だけが選択的に排除されるという様式の細胞死として,動植物を通じて初めての報告と考えられる.以上の結果について,現在,論文の投稿準備を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度で明らかとなった二本目の花粉管誘引停止に必要な受精のシグナルや因子の解析について,論文という形で報告することができた.また,二本目の花粉管誘引停止に重要な残存助細胞のプログラム細胞死の機構を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
残存助細胞と胚乳が融合する現象が,どのような受精の刺激によって引き起こされるのかについて明らかにする.一方で,この融合が起きた時のみ細胞が致死となるようなラインを親株とした順遺伝学的なスクリーニング系を構築し,残存助細胞と胚乳の融合に必要な因子を同定する準備をする.
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Research Products
(3 results)