2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率モデル構築型共進化アルゴリズムの開発とその応用
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11J06532
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大谷 隆浩 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 共進化 / 分布推定アルゴリズム / Differential Evolution / 進化的計算手法 / 最適化 |
Research Abstract |
平成23年度は確率モデル構築型共進化アルゴリズムの一実装であるCA-PBIL法を開発し、計算機実験を通してアルゴリズムの挙動を調べた。また、進化計算手法の一種であるDifferential Evolutionに着目し、この手法を拡張した多峰性関数の最適化アルゴリズムを開発した。計算機実験を通して既存手法との性能比較を行い、提案手法の有用性を示した。これらの研究成果について学術論文を執筆し、また国際会議および国内研究会において研究報告を行った。 まず確率モデル構築型共進化アルゴリズムの一実装として、分布推定アルゴリズムの一種であるPopulation-based Incremental Learning法を共進化アルゴリズムの枠組みに取り入れたCA-PBIL法を開発した。このアルゴリズムの挙動を調べるために、非推移的ナンバーズ・ゲームという簡単な問題を用いた計算機実験を行った。この実験より、共進化アルゴリズムでは通常の進化計算では生じないような複雑な進化挙動により、適切な進化が妨げられる状況があることを確認した。さらに、共進化アルゴリズムで用いる各集団の進化の速度に差をつけることで適切な共進化を促せる場合があることを明らかにした。 また関連する研究として、進化計算手法の一種であるDifferential Evolutionに着目し、拡張手法の開発を行った。このアルゴリズムに、孤立個体に基づく変異操作を導入することで多峰性関数の最適化に対応した拡張手法DE/isolated/1を開発した。複数のベンチマークを用いた計算機実験を通して既存手法との性能比較を行い、特に大小の谷が混在する関数において、提案手法が有効であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画として、提案する確率モデル構築型共進化アルゴリズムのプログラムを実装し、その性能・特性について調査することをあげていた。これについて、実際にプログラムの開発および計算機実験を行い挙動の分析を行ったことで、次年度の計画である実応用に向けた準備ができたと考えている。また、関連する研究として多峰性関数の最適化アルゴリズムを開発することができた。これらの成果について、論文誌等での研究報告も適宜行なっていることから、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った研究では、比較的規模の小さい問題を用いて進化挙動の調査や性能比較を行ったが、実応用を考えた場合にはより大規模な問題にも効果的に適用可能であるか確認しなければならない。今後、適切な問題を選定した上で、アルゴリズムの適用および性能評価を行うことを考えている。また、実際の問題では時間経過にともなって関数が動的に変化する場合や、得られる情報に誤差が含まれる場合など、より複雑な状況を考慮しなければならない。そのような状況においても対応できるようにアルゴリズムを改良することや、新たな手法を開発することを検討している。
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