2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J06541
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福圓 真一 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 三重項カルベン / アレン化合物 / 酸化 |
Research Abstract |
二価の炭素ビラジカル状態とみなすことができる三重項カルベンは有機磁性材料への応用が期待されているものの、非常に不安定な反応中間体であり、未だ安定化は非常に難しい状況である。 そこで、申請者らは三重項カルベンの新規発生法の開発と合成を検討している。具体的にはアクリデン骨格を有するアレン化合物の二電子酸化反応による三重項カルベンの合成を計画した。まず、立体保護基の無いアレンの二電子酸化の結果、カルベンを経由して生成したと考えられる二量体の生成を確認した。さらに捕捉剤との反応により、三重項カルベンが捕捉され生成したと考えられる生成物を得た。三重項カルベンの単離には至らなかったものの、その発生を支持する結果が得られたので、今年度にはこのことに関して、論文を投稿することができた。 次に京都大学時任教授のグループとの共同研究により、立体保護基として塩素原子を導入したアレン化合物の酸化還元電位を測定したところ、可逆的な二電子酸化波(E_<1/2>=0.90 and 1.2V vs. SCE)が観測され、発生した三重項種が電気化学的には安定なことが示唆された。 また、三重項カルベンの合成を目的としてメトキシ基を立体保護基として有するアレン化合物の酸化反応を行った結果、予想に反して、非局在型一項ビラジカル種が生成することを見いだした。大阪大学中野教授、産総研鎌田先生との共同研究による理論計算、二光子吸収測定を行い、同じ骨格を用いて、ジラジカル性の有無で二光子吸収が異なることを初めて直接的に示す事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気化学的手法を用いて、新規発生法により三重項カルベンを発生させる事ができた。しかし、結晶化には成功しておらず、三重項カルベンの構造解析という最終目標は達成できていないためこのような評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、私は塩素原子を立体保護基として有したまま、容易な二電子酸化を起こすことができるような系を目指し、合成を行っている。新規前駆体合成は非常に困難であったが、後数段階のところまできており、新たな系での三重項カルベンの合成が期待できる状況にある。
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Research Products
(4 results)