2011 Fiscal Year Annual Research Report
実験室内での多世代進化によるテルペン酵素活性の組織的創出
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11J06590
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古林 真衣子 千葉大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テルペノイド / カロテノイド / 代謝工学 / 進化工学 / 二次代謝 / 生合成 |
Research Abstract |
自然界には何万もの生理活性テルペノイドが存在する。これらの生産活性がいかにして生まれたかを知ること,そして多様なテルペン骨格の合成活性を開発することが,本研究の目的である。申請者は,テルペン酵素の細胞活性を,共通するイソプレニル二リン酸を基質とするカロテノイド色素経路の生産量低下によって可視化する手法を開発した。本研究では,スクリーニング法を用いて,ひとつのテルペン酵素から多様なテルペン活性をつくり出すことを目指した。 本年度は,実験系のセットアップをおこなった。実験室内進化の対象とするテルペン酵素遺伝子を複数作製し,これを大腸菌内で発現させ,その活性の可視化を試みた。 1.テルペン酵素の大腸菌内発現およびテルペン酵素活性の可視化 タキサジエン合成酵素,5-エピアリストロケン合成酵素を大腸菌にコドン最適化し,DNA2.0社に委託して全合成をおこなった。上記遺伝子およびバジル由来ゲラニオール合成酵素を大腸菌内で発現させ,対応するイソプレニル二リン酸合成酵素を共発現させたところ,それぞれの酵素によるテルペン合成が確認できた。つづいて,カロテノイド合成酵素遺伝子を導入した大腸菌に,ゲラニオール合成酵素を発現させた。大腸菌を培養し,テルペンとカロテノイドの合成量をそれぞれ測定したところ,テルペン合成酵素の活性が高いほどカロテノイド色素の合成量が少ないことが明確に示された。 2.ゲラニオール合成酵素の活性向上を目指した進化工学 ゲラニオール合成酵素遺伝子のランダム変異ライブラリを作成し,これをカロテノイド合成大腸菌に導入してスクリーニングを行ったところ,3つの変異体が得られた。得られたゲラニオール合成酵素変異体を,テルペン前駆体経路を強化させた大腸菌で発現させたところ,野生型よりも2倍近い,10mg/Lのゲラニオール合成量を示した。この値は,これまで報告された微生物によるモノテルペン生産量のなかでも最大のものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した計画通りに研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,研究計画調書に記載した計画通り,テルペン酵素の多世代にわたる実験室内進化を行う。また,そこで得られた酵素変異体の生化学解析(生産物解析)およびシーケンス解析を行い,反応特異性に影響し得るアミノ酸部位などの特定を試みる。
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Research Products
(12 results)