2012 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙マイクロ波背景放射を用いた初期密度揺らぎの非ガウス性の研究
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11J06598
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 良貴 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員DC1(数物系科学)
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Keywords | 宇宙論 / 21cm線 / ミッシング・バリオン / 超微細構造線 / SKA / LOFAR |
Research Abstract |
電子軌道のスピンに由来するエネルギー順位の遷移による輝線は超微細構造線と呼ばれ、中性水素原子もまたこの超微細構造を持っており、その遷移エネルギーに対応する波長の長さから21cm線として良く知られている。この21cm線の観測は銀河間に存在する中性水素の分布を探るだけでなく、星や銀河が輝き始める以前の宇宙をも探ることのできる数少ない手段の一つとして宇宙論の分野では注目されている。 そして、SKAは大規模な電波干渉計を用いた将来観測計画として多くの分野から注目を集めている。21cm線の観測は他の観測では覗く事のできない宇宙の歴史を明らかにする事ができ、さらには銀河団や銀河よりもさらに小さなスケールの物質の分布を解明することができる。 今年度は、宇宙マイクロ波背景放射による非ガウス性の制限に関する研究と並行して、SKAなどの大規模将来観測を念頭に、21cm線を用いた宇宙の大規模構造のより詳細な理解を目的とした研究を進めるために、SKAグループや現在観測が進行しているLOFARグループに参加し現地の研究者らと共同研究をおこなった。 今回、我々は中性水素の21cm線だけではなく他の物質の超微細構造線に注目しSKAのような将来観測で観測可能かを議論した。これらの観測は暗い為に観測されないミッシング・バリオンと呼ばれるバイオン物質が宇宙のどこに、どれだけ存在しているのかとう問題に対して決定的な示唆を与えてくれるはずであり極めて重要である。また、独立な複数の観測量は一致性の確認をする上でも重要であるといえる。さらには、ここで得られたノウハウは21cm線を用いた初期密度揺らぎのより詳細な検証を目的とした研究にも繋がると考えられる点で意義があるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙マイクロ波背景放射を用いた非ガウス性に対する制限に関しては、現在解析の段階にあり順調に進んでいると言える。さらに、宇宙マイクロ波背景放射とは独立な観測量から非ガウス性に対して制限を与え、一致性を確かめる事を念頭に21cm線による将来観測を想定した研究も並行して進めており、おおむね順調に進展してとう自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
Planck衛星による宇宙マイクロ波背景放射の観測データが公開され、非ガウス性に対する制限も与えられた。一方で、さらに高次の相関に対して議論を行う余地もあり今後はさらに高次の相関に対する制限をミンコフスキー汎関数を用いて行う。また、宇宙マイクロ波背景放射の観測のみならず、他の観測からの制限も行いそれぞれの結果に対して一致が見られるかを確かめる。
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Research Products
(4 results)