2011 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気/好気環境下で生息する特殊微生物の機能解明によるリン等の資源回収の高効率化
Project/Area Number |
11J06615
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小寺 博也 広島大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 資源回収 / 栄養塩除去 / DHS / バイオリアクター / 省エネルギー / リン資源 / ポリリン酸蓄積細菌 / 下水処理 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は微生物によるリン等の資源濃縮回収システムの開発である.我々の研究グループは余剰汚泥としてではなく高濃度リン濃縮液として回収する事でエネルギーを使わない画期的なリン回収を考案し,実験による実証を行い,特許を出願している.このリン濃縮回収プロセスは,運転コスト,エネルギーの点で余剰汚泥によるリン回収プロセスより遥かに優れており,次世代の排水処理プロセスとして日本のみならず世界中に普及すると確信している.環境中に拡散されてしまった資源を濃縮し再利用するアイディアは,持続可能な循環型社会の構築の観点から大変有効な技術であり,申請者は本濃縮回収のアイディアを速やかに社会に還元したいと考え研究を進めている.本研究では最初のステップとして下水からのリン回収技術を目標としているが、申請者はこれまでに海水からのリン濃縮回収を実証しており,実用化を目指すための次のステップとして海洋性PAOsの機能解明を行う必要があると考え研究を進めている.また,申請者は上記の研究中に嫌気好気環境下で特定の金属が濃縮される現象を確認しており,希少資源であるレアメタルの排水からの濃縮回収が可能であると考えている.申請者はリン濃縮回収システムの確立をステップとしつつ,本濃縮回収プロセスの更なる発展系に挑戦する. リン資源濃縮回収システム完成させるための具体的な研究フローとして、研究1.リン蓄積生物保持担体の選定及び制御操作の検討、研究2.汚泥酸生成物による嫌気有機物源の検討、研究3.実排水を用いたプラントスケール実験、研究4.海洋性PAOsのゲノム解析、以上4つのテーマを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度はリン蓄積生物保持担体の検討と,実排水を用いたプラントスケール実験を行った.生物保持担体を検討した結果,リアクターのリン回収効率を70%まで向上させる事に成功した.更に,検討した担体を用いて、プラントスケールのリン回収リアクターを設計,作成し、実際に下水処理場に設置し実下水からのリン回収実験を行えた.これらは当初の目標通りの内容であり滞りなく進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在、下水処理場にプラントスケールのリアクターを設置して運転中である.本リン回収プロセスではリン回収に初沈汚泥の酸発酵液を用いる予定であり,最適な酸発酵液を作成できる条件を実験により明らかにする.これらの実験結果を踏まえ,余剰汚泥発生ゼロの省エネルギー型資源回収リアクターを実現させる.
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Research Products
(1 results)