2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスに特異的な複製マシーナリーの構造基盤の解明と創薬への応用
Project/Area Number |
11J06792
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 幹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA複製 / ヘルペスウイルス |
Research Abstract |
本年度は単純ヘルペスウイルス1型由来のヘリカーゼ・プライマーゼ・補因子複合体の発現とその高純度精製系の確立に取り組んだ。まずそれぞれの遺伝子を含む組み換えバキュロウイルスを作成し、それらを昆虫細胞に三重感染させることで複合体を発現させた。補因子のN末端にはHis-tagを融合させており、三重感染させた細胞の破砕液を遠心した上清をNi-NTAカラムで精製した。この粗精製サンプルをゲル濾過クロマトグラフィーによってさらに精製することで純粋なヘリカーゼ・プライマーゼ・補因子複合体の結晶化サンプルを得た。現在このサンプルを用いて結晶化条件のスクリーニングを行なっている。また、単純ヘルペスウイルス1型以外のヘルペスウイルス由来のヘリカーゼ・プライマーゼ複合体も新たなターゲットとして研究を進めている。東京大学医科学研究所の川口寧博士との共同研究により、サイトメガロウイルス、EBウイルス、ウマヘルペスウイルスのゲノムを採取し、このゲノムからヘリカーゼとプライマーゼのクローニングに成功した。そしてそれぞれのウイルス種のヘリカーゼ、プライマーゼの遺伝子を含む組み換えバキュロウイルスを作成し、それらを昆虫細胞に二重感染させた。ヘリカーゼのN末端にはHis-tag、プライマーゼのN末端にはStrep-tagを融合させている。感染させた細胞の破砕液を遠心した上清をStrep-tactinカラムで精製し、溶出液をSDS-PAGEにかけたところ、ウマヘルペスウイルスに関してはプライマーゼだけでなくヘリカーゼのバンドも検出され、強固な二者複合体の形成が確認できた。今後はウマヘルペスウイルス由来のヘリカーゼ・プライマーゼ複合体を大量発現させ、精製、結晶化を行う予定である。サイトメガロウイルス、EBウイルス由来のヘリカーゼ・プライマーゼ複合体に関しても発現条件の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で取り組んでいる単純ヘルペスウイルス1型由来のヘリカーゼ・プライマーゼ・補因子複合体の大量発現と精製は過去に成功例がなく、この複合体の結晶化は難しいと当初考えられていたが、本研究では発現、精製条件に工夫を重ねた結果結晶化に適した高純度の複合体サンプルを十分量調整することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在単純ヘルペスウイルス1型由来のヘリカーゼ・プライマーゼ・補因子複合体の結晶化に精力的に取り組んでいるが、結晶が得られない場合はプロテアーゼによる限定分解によってヘリカーゼ、プライマーゼ、補因子の安定なフラグメントをそれぞれ同定し、そのコンストラクトで結晶化を行う。また、現在クローニングに成功しているEBウイルス、サイトメガロウイルス、ウマヘルペスウイルスに関しても発現、精製、結晶化を行う。
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Research Products
(5 results)