2012 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスに特異的な複製マシーナリーの構造基盤の解明と創薬への応用
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11J06792
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 幹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA複製 / ヘルペスウイルス |
Research Abstract |
本年度はこれまで研究対象としていた単純1型以外のヘルペスウイルスに着目し、サイトメガロウイルス、EBウイルス、ウマヘルペスウイルスのゲノムを採取し、このゲノムからヘリカーゼとプライマーゼのクローニングに成功した。これらのウイルスには補因子が存在せず、またヘリカーゼとプライマーゼが単純ヘルペスウイルス1型と比べて分子量が小さい傾向にあることから、これらのウイルス由来のヘリカーゼ・プライマーゼ複合体は結晶化に適したコンパクトな構造をとっている可能性が高い。そしてそれぞれのウイルス種のヘリカーゼ、プライマーゼの遺伝子を含む組み換えバキュロウイルスを作成し、それらを昆虫細胞に二重感染させた結果ヘリカーゼとプライマーゼの二者複合体の形成が確認できた。そしてウマヘルペスウイルスのヘリカーゼ・プライマーゼ複合体を大量発現させて精製を行ったが、プライマーゼの発現量が低く、結晶化を行うために十分な量のタンパク質を得ることができなかった。また、ウマヘルペスウイルスはヘリカーゼ単体に関しては発現量が高く結晶化に十分な量のタンパク質が得られる見込みがあったため、ヘリカーゼ単体の結晶化にも取り組んだ。N末端にヒスチジンタグを融合させたウマヘルペスウイルスのヘリカーゼを発現させる組み換えバキュロウイルスを昆虫細胞にそれぞれ感染させ、感染させた細胞の破砕液を遠心した上清をNi-NTAカラムで精製した。そしてNi-NTAカラムからの溶出液をResource Qカラム、ゲル濾過クロマトグラフィーによって結晶化に十分な純度のタンパク質を得ることができた。そしてこのサンプルを用いて結晶化を行ったが、結晶を得ることはできなかった。現在ヘリカーゼの結晶化コンストラクトを探索すると共に、プライマーゼの発現を向上させるためのコンストラクションを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はこれまで研究対象としていた単純1型以外のヘルペスウイルスに着目し、そのヘリカーゼ・プライマーゼ複合体のタンパク質をバキュロウイルスと昆虫細胞の系で発現させ、複合体を得ることができた。ヘリカーゼ単体に関しては結晶化に十分な量のタンパク質を得るための発現系・精製系の構築に成功し、結晶化条件の探索に進んでいる。 ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体に関しては今後発現条件を検討することでプライマーゼの発現量を向上させる。
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Strategy for Future Research Activity |
具体的には、プライマーゼのコンストラクションを行うことでヘリカーゼとの結合を保ったまま十分量発現するコンストラクトを同定する。十分な量のヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の発現に成功すれば精製系を構築し、結晶化へと進む。ヘリカーゼ単体に関してもフレキシブルで結晶化を阻害していると考えられる末端領域を削ったコンストラクトを現在作製しており、このコンストラクトで結晶化を行う。
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Research Products
(4 results)