2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスに特異的な複製マシーナリーの構造基盤の解明と創薬への応用
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11J06792
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 幹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウイルスタンパク質 / 組み換えバキュロウイルス |
Research Abstract |
本年度はウマヘルペスウイルス由来のヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の結晶化試料の調製に取り組んだ。前年度に作製したヘリカーゼ、プライマーゼそれぞれの遺伝子を含む組み換えバキュロウイルスを昆虫細胞Sf+に感染させることでヘリカーゼ・プライマーゼ複合体を発現させた。この中でも特にウマヘルペスウイルスに関しては他の2種と比べて比較的発現状況が良好であるが結晶化に持ち込むほどの量のタンパク質が得られないことが前年度の研究によりわかっていた。そこで発現条件の検討を行った。具体的には昆虫細胞Sf+に感染させるバキュロウイルス濃度の検討や感染時間の検討などを行ったが、発現量を改善することはできなかった。またウマヘルペスウイルスのヘリカーゼは単体で大量に発現することが前年度の実験で分かっていたため、ヘリカーゼ単体についても構造決定に取り組んだ。前年度の実験により全長のウマヘルペスウイルス由来ヘリカーゼは大量発現と高純度精製はできるものの結晶化しないことが分かっていた。そこで今年度は末端領域を削ったヘリカーゼのコンストラクトを作製し、その遺伝子を含むバキュロウイルスを作製して同様に昆虫細胞Sf+に感染させた。そして感染した昆虫細胞を用いてウェスタンブロットを行ったが、ヘリカーゼの発現を確認することはできなかった。また今年度はインフルエンザウイルスが宿主に感染する際に用いるタンパク質であるヘマグルチニンの細胞外ドメインの調製にも取り組んだ。インフルエンザウイルスのヘマグルチニンの遺伝子に細胞外分泌シグナル配列とヒスチジンタグの遣伝子を融合させた遺伝子を含む組み換えバキュロウイルスを作製し、昆虫細胞に感染させた。そして分泌タンパク質を含む培養上清からNiカラムを用いてヘマグルチニンを精製したところタンパク質の発現が確認された。今後大量発現と精製を行い、薬剤との共結晶化を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は本年度が最終年度である。ヘルペスウイルスのヘリカーゼ・プライマーゼ複合体は結晶化に必要な量のタンパク質を調製する系が構築できていない。一方インフルエンザウイルス由来のヘマグルチニンの細胞外ドメインは発現に成功したため今後結晶化に十分な量のタンパク質を調整し、薬剤との共結晶化を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は本年度が最終年度である。ヘルペスウイルスのヘリカーゼ・プライマーゼ複合体はタンパク質の発現量の低さが問題となっている。今後はタンパク質のコンストラクトやタンパク質の発現条件を検討することで発現量の向上を試みる予定である。また宿主となる昆虫細胞の種類を検討することも行う。インフルエンザウイルスのヘマグルチニンに関しては、ヘマグルチニンを高純度で精製する系を確立するとともに薬剤との共結晶化を行い、複合体の構造を決定する。
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Research Products
(4 results)