2012 Fiscal Year Annual Research Report
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11J06837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北中 佑樹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 圧電性 / 誘電性 / 単結晶 / 結晶成長 / 格子欠陥 / 第一原理計算 / 圧電応答顕微鏡 / パルスレーザー堆積 |
Research Abstract |
(1)PLD法を用いたヘテロ界面の形成手法確立 ヘテロ界面を利用したドメイン構造制御(ドメインエンジニアリング)を目指して、PLD法による無極性or極性材料/強誘電体材料ヘテロ界面の形成を試みた。対象物質として、有望なBi系強誘電体である(Bi0.5Na0.5)TiO3[BNT]を選択した。Aサイト欠損を抑制する目的で、製膜雰囲気やターゲット組成を最適化することによって、無極性導電性基板(SrRuO3/(001)SrTiO3基板)上にBNT単結晶薄膜をエピタキシャル成長させることに成功した。薄膜X線回折の解析によって、良好なヘテロ界面が形成されていることが確認されている。 (2)無極性基板上に堆積したBNT薄膜の電気特性とドメイン構造 BNT薄膜の漏れ電流特性を評価した結果、製膜条件の改善によってBNT層の絶縁特性が大幅に向上することが示された。Aサイト欠損の抑制が、電気特性の改善に寄与したと考えられる。高い絶縁性を示したBNT層の表面に、プローブ顕微鏡(PFM)を用いて局所電圧を印加した結果、圧電振動の位相反転が明瞭に観察された。Aサイト欠損の抑制によって絶縁性が向上した結果、強誘電性を示す高品質なBNT薄膜が得られた。また、圧電応答顕微鏡を用いてBNT薄膜のドメイン構造を観察した結果、20-50nm程度の大きさの微細なドメインが緻密に形成されていることが明らかとなった。無極性導電性基板上において、自発分極がランダムに配列した微細なドメイン構造が形成されることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画であった、PLD法を用いた強誘電体薄膜のエピタキシャル成長を達成しており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。従来単結晶で得てきたノウハウに基づいて、製膜条件の最適化を行った結果、今後の特性評価に耐えうる高品質なBi系強誘電体薄膜が得られた。薄膜におけるドメイン構造観察にも成功しており、10nmオーダの微細なドメイン構造が観察されたことは、今後のドメイン構造制御において重要な知見になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた知見を基に、極性・導電性を有する結晶基板(ZnOなど)においても、PLD法を用いて良質なヘテロ界面を形成する手法を確立する。本年度と同様に得られた膜のドメイン構造解析を行い、ヘテロ界面がドメイン構造に及ぼす影響を評価していく。今年度に得られた無極性基板上の強誘電体薄膜も併せて、電場印加によるドメイン挙動の解明と制御を目指す。強誘電・圧電特性をはじめとして、力学・光・電磁波に対する応答についても評価し、強誘電性との機能複合材料の設計指針確立を目指していく予定である。
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Research Products
(9 results)