2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスタンパク質の各種疾患における役割の解明と治療薬の開発
Project/Area Number |
11J06922
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石原 知明 慶應義塾大学, 薬学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ストレスタンパク質 / 既存薬ライブラリー / 漢方薬ライブラリー |
Research Abstract |
本研究は、各種ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質(HSP)、小胞体ストレスタンパク質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD))が様々な疾患に対して保護的に働いているかを、これらストレスタンパク質に関する遺伝子改変マウスと疾患動物モデルを組み合わせることにより網羅的に検討する研究と、それらストレスタンパク質の誘導剤を既存薬および漢方薬ライブラリーからスクリーニングし、疾患動物モデルで評価する研究からなる。すなわち本研究は、様々な疾患にストレスタンパク質がどのように関与しているかを明らかにするという世界的に見ても独創的な基礎研究であり、同時に疾患治療薬の開発に直接繋がる応用研究でもある。 前年度私は、既存薬ライブラリーおよび漢方薬ライブラリーの構築、各種ストレスタンパク質遺伝子改変マウス(HSP70過剰発現マウス、HSF1欠損マウス、CHOP欠損マウス、SOD過剰発現および欠損マウスなど)の導入、疾患動物モデル(胃潰瘍、小腸潰瘍、炎症性腸疾患、間質性肺炎、肝炎、末梢動脈閉塞症、肺高血圧症など)の導入とその評価系の構築を行った。現在、導入した遺伝子改変マウスと疾患動物モデルを組み合わせて、各種疾患に対して保護的に働いているストレスタンパク質を同定している途中段階である。 今年度はさらに、各種疾患に対して保護的に働くストレスタンパク質の同定を続けるとともに、その疾患抑制メカニズムの解析をin vitro,in vivoで行う予定である。最終的には、ストレスタンパク質誘導剤のスクリーニングを既存薬および漢方薬ライブラリーを用いて行いたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に計画していた既存薬・漢方薬ライブラリーの構築、遺伝子改変マウスの導入、疾患動物モデルの導入に関しては、一部の遺伝子改変マウスの導入をのぞいて完了した。一方現在では、導入した遺伝子改変マウスを用いて疾患モデルにおける表現系を検討している途中であり、計画以上に進展した面もみられている。従って総合的には、研究の進行はおおむね順調であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、導入した遺伝子改変マウスと疾患動物モデルを組み合わせて、各種疾患に対して保護的に働いているストレスタンパク質を同定する。その後、あるストレスタンパク質がある疾患モデルにおいて保護的に働いていることが示された場合、その分子機構を明らかにする。さらに各種疾患に有効であることが示唆されたストレスタンパク質に関して、その誘導剤のスクリーニングを既存薬および漢方薬ライブラリーを用いて行う。
|