2012 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスタンパク質の各種疾患における役割の解明と治療薬の開発
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11J06922
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石原 知明 慶應義塾大学, 薬学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ストレスタンパク質 / 既存薬ライブラリー / 漢方薬ライブラリー |
Research Abstract |
本研究は、各種ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質(HSP)、小胞体ストレスタンパク質(ORP、CHOP)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)が様々な疾患に対して保護的に働いているかを、これらストレスタンパク質に関する遺伝子改変マウスと疾患動物モデルを組み合わせることにより網羅的に検討する研究と、それらストレスタンパク質の誘導剤を既存薬および漢方薬ライブラリーからスクリーニングし、疾患動物モデルで評価する研究からなる。すなわち本研究は、様々な疾患にストレスタンパク質がどのように関与しているかを明らかにするという世界的に見ても独創的な基礎研究であり、同時に疾患治療薬の開発に直接繋がる応用研究でもあると考えている。 24年度私は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、紫外線による皮膚障害モデルの導入と評価系の構築を行った。さらに、これまでに導入した遺伝子改変マウス(HSP過剰発現マウス、ORPノックアウトマウス、CHOPノックアウトマウス、SOD過剰発現マウス、SODノックアウトマウス)と疾患モデル(胃潰瘍、小腸潰瘍、炎症性腸疾患、間質性肺炎、肝炎、末梢動脈閉塞症、COPD、皮膚障害)を組み合わせて検討したところ、いくつかの疾患に対して保護的に働いているストレスタンパク質を同定することに成功した。保護的に作用しているストレスタンパク質に関しては、その作用メカニズムについての解析をin vitro,in vivoで行っている。さらに、既存薬および漢方薬ライブラリーを用いたストレスタンパク質の誘導剤のスクリーニングについても同時に進行中である。 25年度も上記の研究を引き続き行い、それぞれの疾患治療薬として有望なストレスタンパク質誘導剤を決定したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
24年度に計画していた研究は8割程度完了したと考えている。また、一部の研究に関しては、25年度に行う予定であるものも既に行っている状況である。従って総合的には、研究の進行は当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度には、いくつかの疾患に対して保護的役割を果たすストレスタンパク質を同定する事ができたので、その詳細な作用メカニズムを検討する。次に、既存薬、漢方薬ライブラリーを用いたストレスタンパク質誘導剤のスクリーニングを行い、得られた物質がどのようなメカニズムでストレスタンパク質を誘導するかを検討する。最後に、疾患モデルに対して、誘導剤が薬理効果を示すかを確認するとともに、その作用機構を検討する予定である。
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