2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J06966
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲垣 貴弘 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 重力波 / 銀河衝突 / モンテカルロ法 / シミュレーション / B-mode / 銀河団 / 宇宙背景重力波 |
Research Abstract |
今年度は主として、宇宙の歴史で多数発生すると考えられている銀河の衝突が生み出す重力波の総量を見積もり、それがどのように背景重力波として観測されうるか、について研究をすすめた。具体的な手法としては、前年度に評価した個別の銀河衝突からの重力波と解析的な表式である銀河衝突史のモデルを組み合わせ、さらに乱数を用いたモンテカルロ法を採用した。シミュレーション結果と解析的な式を組み合わせることはこれまで成されておらず新しい手法である。 この結果、銀河衝突起源の重力波はΩ=1e-19であると評価することが出来た。また赤方偏移や銀河質量と重力波の関係性を解明し、赤方偏移が1以下で起こった大質量の銀河衝突が支配的であることがわかった。観測に関して、上記の重力波は直接観測が困難であるが、宇宙マイクロ波背景輻射の偏光成分であるB-modeでの間接的な観測が有力である。B-modeは現時点では観測されていないが、将来観測が期待されているものである。私が評価した背景重力波は大スケールでのB-modeを発生させることがわかり、将来正確なB-modeを得るためは非常に重要であることを解明した。 以上の研究については、すでに論文を欧文学術雑誌に投稿し、2012年の4月にアクセプトされ出版予定である。また、ここで得られた銀河、シミュレーションの知識を用いて銀河団の数値シミュレーションを行い、そこでの銀河の質量がどのように時間と共に変化していったのかを中心に、銀河団の形成過程についての研究も進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である準解析的な手法で宇宙背景重力波を評価するということを論文投稿という形で達成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の目的は宇宙背景重力波を、準解析的で求める方法とシミュレーションを用いた数値計算的手法での2通りも方法で求めることである。現在1つ目の方法である準解析的な手法での評価を達したため、次のステップとしてシミュレーションを用いた方法を進める考えである。
|