2013 Fiscal Year Annual Research Report
Rab35-centaurinβ2複合体による神経突起伸長メカニズムの解明
Project/Area Number |
11J06981
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 穂高 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経突起伸長 / 小胞輸送 / Rab / Rab35 / centaurinβ2 / Arf6 / EHD1 / リサイクリングエンドソーム |
Research Abstract |
脳の情報処理回路の実体である神経細胞ネットワークは、神経細胞が周囲の神経細胞に向かってケーブル状の構造(神経突起)を伸長させることで初めて形成される。すなわち神経突起の伸長メカニズムの解明は神経科学における重要な研究課題である。神経突起を伸長させるためには神経突起伸長部位への脂質膜の供給や接着因子の輸送が不可欠であることが近年報告され始めており、細胞内の物質輸送を司る小胞輸送という視点が今後の神経突起伸長研究において重要な切り口になってくると考えられる。我々はこの観点から、小胞輸送を司るRabタンパク質に着目し、神経突起の伸長に必須な新規小胞輸送因子としてRab35とその結合因子centaurinβ2を同定することにこれまで成功している(Traffic (2010) 11:491-507)。しかし、肝心のRab35とcentaurinβ2が制御する小胞輸送の実体は明らかでなかった。そこで本研究課題では、Rab35-centaurinβ2複合体が神経突起伸長時に制御している小胞輸送の実体を明らかにすることで、小胞輸送という観点から神経突起伸長の新規メカニズムを解明することを目指した。第一年度・第二年度において、Rab35はcentaurinβ2を介してArf6の不活性化を引き起こすことで、ダイナミン様因子EHD1をリサイクリングエンドソームにリクルートすることを見出した(J. Cell Sci. (2012) 125:2235-2243 ; Commun. Integr. Biol. (2013) e25036 ; J. Cell Sci. (2013) 126:2424-2435)。EHD1はエンドソームからの小胞形成を促進することが報告されており、Rab35はリサイクリングエンドソームを出発点とする小胞輸送を制御していることが予想された。そこで第三年度では、Rab35の細胞内局在・動態をより詳細に解析した。その結果、免疫染色法によりRab35はEHD1をリサイクリングエンドソームにリクルートした後に(NGF刺激6時間後)、神経突起へとダイナミックに局在移行することが明らかになった(NGF刺激36時間後)。さらに、ライブセルイメージング法により、Rab35陽性の小胞が核周辺(リサイクリングエンドソームが主に局在する)から神経突起方向へと移動する様子が観察された(現在投稿中)。以上の結果から、Rab35-centaurinβ2複合体はリサイクリングエンドソームから神経突起への小胞輸送(神経突起伸長部位への脂質膜の供給)を制御することで、神経突起伸長を制御しているものと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(8 results)