2011 Fiscal Year Annual Research Report
冷却原子気体のBEC-BCSクロスオーバーにおける多体効果の理論的研究
Project/Area Number |
11J07049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 晋平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 冷却原子気体 / 超流動・超伝導 / 少数多体系 / 強相関系 / Efimov状態 |
Research Abstract |
私は、質量が異なる原子間の3量体状態の研究を行った。先行研究から、3量体が離散的なスケーリング則を満たすエフィモフ状態と連続的なスケーリング則を満足するカターツェフ・マリク3量体の存在が予言されていたが、定性的な性質の異なる2種類の3量体が互いにどのように移行するのかという問題はよくわかっていなかった。私はこの問題に取り組み、両者の間を連続的に移り変わるクロスオーバー3量体という新しいタイプの3量体が存在することを見出した。この結果は当該分野に重要な知見を与えるものと判断される。 この研究は、強く相互作用をする冷却原子気体の安定性の問題に関係する重要な問題である。当初冷却原子気体におけるBEC-BCSクロスオーバーの研究を行っていたが、Fermi粒子間の質量比を変えていくことにより、従来発見されていなかった新しい不安定性がある可能性を発見した。その不安定性は上記の3量体にかかわるものであり、3量体の性質・形成のメカニズムを探ることはBEC-BCSクロスオーバーの本質の理解にとって非常に重要である。また近年冷却原子気体における実験技術が飛躍的に向上しており、3量体,4量体のような少数多体系を実験で観測できるようになった。本研究の成果も現在の実験技術において、十分に観測可能であるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この研究当初は、BEC-BCSクロスオーバーの熱力学的性質に関する研究を行っていたが、Fermi粒子間の質量比を変えていくことにより、従来発見されていなかった新しい不安定性がある可能性を発見した。その不安定性は上記の3量体にかかわるものであり、3量体の性質・形成のメカニズムを探ることはBEC-BCSクロスオーバーの本質の理解にとって非常に重要である。本研究が進むことにより、新奇量子相の発見へとつながる可能性があり、当初予測したよりも多彩な物理現象を発見できる可能性があると強く期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず本研究で発見した3量体に関して、その状態の理論的解明を目指す。特に繰り込み群の手法を用いて、そのスケーリング則の変化を解明する。また3量体の多体物理に及ぼす熱力学的影響に関しても研究する予定である。
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Research Products
(11 results)