2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J07081
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長澤 文嘉 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表面増強ラマン散乱 / プラズモン共鳴 / 固液界面 / 電子状態 / 単分子 / 共鳴励起 / 金属ナノ構造体 / 振動分光 |
Research Abstract |
物質の持つ固有のエネルギー状態は分子や原子などそれ単体の情報にとどまらず系全体における相互作用に関する情報を強く含む。それを解明してゆくことこそ真の化学的、物理学的、生物学的な情報の取得と現象の理解となり、実際に応用へと還元できる基礎研究になり得ると考える。その中でも多くの現象の観測環境である常温常圧下における固液界面の情報取得と制御は極めて重要となる。ラマン分光法はSTM,AFM,X線回折などの構造を明らかとする手段には無い、分子の同定が非破壊かつin-situで界面において可能となる手段である。 ラマンスペクトルは通常微弱であるために、高感度にて測定するために、金属構造体を精妙に制御し、測定することが必要となる。申請者は高感度という点だけではなく、その励起方位を制御し測定可能となる金属ナノ構造体を作成し、固液界面の情報取得を行った。入射光偏光方位の制御により金属表面上における分子の吸着配向ダイナミクスがin-situにてわかり、散乱光偏光を詳細に検討することにより分子内の異方的な光応答性の存在が示唆された。さらに、金属と分子の吸着によりその間に電荷移動が生じることによる化学的因子の影響が存在することが示唆された。さらに、構造が均一である検出分子単結晶の作成を行い、その偏光ラマンスペクトル測定をし、実験的に分子の偏光ラマン応答性を測定することに成功した。DFT計算のみならず、実験的にラマンテンソルを取得することが出来、双方の整合性を確認した。また、界面状態の差を考慮した測定を行う為に、金属の原子レベルでの平滑面の作成が必要不可欠となるが、その作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究目的は固液界面における分子の異方的な電場励起方位をラマン散乱測定によって明らかとするというものとなる。これには、計算との比較だけではなく、実験的に分子が偏光した光を感受、散乱光を励起する過程を測定することが必要となる。現在、金属の相互作用がない環境での、分子の偏光応答性について成功している。さらに原子レベルにて平滑な金属表面の作成に成功している。これらを用いることよって、固液界面での測定が十分に達成できるものと考えられるためにこの区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
金属表面上に分子の自己組織化単分子膜を作成し、全反射減衰法を用いたラマンスペクトル測定を行う。これによって規則配向系における測定が可能となる。Agダイマー構造体によって測定したSERSにおける散乱光の各偏光成分について分子の単結晶ならびに実験的に得られた情報を用いて評価を行う。単一分子の測定可能な系を用い、伝導度-SERSスペクトル測定により分子数のモニタリングと同時に偏光SERSスペクトル測定を行う。さらに単一分子架橋系の形成と同時に偏光ラマンスペクトル測定を行う。 これによって、単一分子接合の形成、ならびに同時偏光SERSスペクトル測定が可能となる。以上を行い、単分子の偏光性を精妙に明らかとする。
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Research Products
(4 results)