2012 Fiscal Year Annual Research Report
冪乗法則型流体の初期値境界値問題と自由境界問題の解析
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11J07115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺澤 祐高 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特任教授
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Project Period (FY) |
2011 – 2013-03-31
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Keywords | 冪乗法則型流体 / 弱解 / リプシッツ切断 / 拡散界面モデル / マルチンゲール / 正作用素 / Doob極大作用素 / 重み付き評価 |
Research Abstract |
本年度は、マルチンゲールの枠組みでの調和解析の研究と、幕乗法則型流体の二層流体問題の拡散界面モデルを記述する方程式の解の存在に関して研究を行った。マルチンゲールの枠組みでの調和解析の研究においては、正作用素と極大作用素に関して重み付き$p$乗可積分空間における有界性の研究を行った。分数積分作用素は正の核を持つ積分作用素であるが、それの二進格子を用いた離散化により、二進正作用素が得られる。Kerman-Sawer('86),Cascante-Ortega-Verbitsky('04, '06)の結果においては、二進正作用素に関する重み付きの評価からユークリッド空間における正作用素の有界性の評価を導いている。 本研究においては、これらの結果をマルチンゲールの枠組みに一般化した。$\sigma$-有限の測度空間において、$\sigma$-有限の$\siglna$-代数からなるフィルトレーションが与えられた状況において、条件付き期待値を用いて、正作用素を定義し、それの重み付き有界性を調べた。また、Doobの極大作用素の重み付き評価に関する研究も行った。これらの結果は、研究の目的に挙げた幕乗法則型方程式の線形化方程式の最大正則性、より一般に放物型方程式の最大正則性と理論的な関連があると考えられ、実際、その理論のより深い理解を試みる過程でこの研究がなされた。また、幕乗法則型流体の二層流体問題の拡散界面モデルに関して、弱解の存在に関して研究を行った。先行する研究として、幕乗法則型流体方程式の弱解を幕が低い範囲で構成する仕事があり、その仕事で用いられたリプシッツ切断の手法を用いて、弱解を構成した。リプシッツ切断は、ソボレフ函数の列をリプシッツ函数で近似する方法であり、非線形項を軟化した、近似方程式の解からもとの方程式の弱解を得る際に用いられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幕乗法則型流体の自由境界問題に関する研究を完成することができた。これは、交付申請書に記載した研究計画に沿っている。また、放物型方程式の最大正則性に関連する研究として、マルチンゲールの枠組みで正作用素と極大作用素の重み付き評価を行った。これは、研究計画にはなかったが、その方向に沿った研究であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
就職により平成24年12月15日付け特別研究員辞退
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Research Products
(3 results)