2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J07159
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
張 郁芬 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Pb2+プローブを開発 / 超高輝度化学発光性生理機能指示薬 |
Research Abstract |
重金属である鉛イオン(Pb2+)は地球上に広く存在する有害物質であり、呼吸器や消化器系を介して人体に吸収されると神経系や血球系、泌尿器系など様々な器官に重篤な障害を引き起こすことが知られている。しかしながら、鉛中毒の発生機序は未だ不明な部分が多い。そこで本研究では、既に開発を進めているBRETを原理とするCa2+指示薬の作成戦略を踏襲することで、生きた細胞内におけるPb2+の分布を可視化することが可能なプローブを開発した。 A.ルシフェラーゼ再構成と高効率エネルギー移動を組み合わせたPb2+指示薬の開発既に私が所属する研究室では改変型ウミシイタケルシフェラーゼ(RLuc)から高効率に蛍光タンパク質VenusへBRETを生じさせることにより、超高輝度に発光するSuperSTARを開発済みである(未発表)。私は、このSuperStarの内部にカルシウム結合タンパク質であるカルモジュリンおよびその標的結合ペプチドであるM13を挿入することで、Ca2+結合依存的には高強度がおよそ500%増加するCa2+指示薬SuperBRACの作成に成功した(未発表)。本年度はSuperBRACのCaM-M13部分をPb2+結合性タンパク質であるPbrRに置換することでPb2+指示薬のプロトタイプを開発した。 B.Pb2+指示薬の物理学的性質の測定と指示薬の最適化開発したプロトタイプPb2+指示薬の性能を評価するために、大腸菌に発現させて精製し、Pb2+に対する親和性を測定した。しかし、発光強度はSuperBRACに比べて非常に弱かった C.生細胞での観察Ca2+指示薬遺伝子を神経細胞にリン酸カルシウム法により導入しでタンパク質を発現させ、培地中にCa2+添加したときの細胞内のCa2+濃度の変動を、既に研究室にセットアップ済みの顕微鏡システムを利用して、可視化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私はこれまで発光性Ca2+指示薬(SuperBRAC)を開発し、今年はHeLa細胞のヒスタミン刺激後のCa2+振動や、神経細胞のK+による脱分極誘導後のCa2+上昇のイメージングに成功した。今回の成功で培ったイメージング技術は生細胞での発光性Pb2+イメージングに応用可能である。しかしながら、現在の発光性Pb2+指示薬の性能(シグナル強度とシグナル変化量)は低くそれらの改善は必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次の3点に絞ってPb2+指示薬の改善を行う。1)Pb2+感受性領域の最適化、2)Pb2+感受性領域挿入部位の最適化、3)ペプチドリンカーの配列・長さの最適化、を行う事でシグナル強度の改善を図る。1)Pb2+感受性領域を2回繰り返しにする事で、発光性Ca2+(SuperBRAC)と同様の立体構造をとる事を図る。Pb2+感受性領域(PbrR)の遺伝子の大きさは360 bpであり、2回繰り返す事でCaM-M13の大きさ(900 bp)と同程度になると考えられる。2)報告されている発光性タンパク質RLuc内にタンパク質を挿入できる他の箇所にPb2+感受性タンパク質の挿入を試し、より効果的な部位を探索する。3)挿入したPb2+感受性領域の前後に長く柔らかいペプチドリンカーを配する事でシグナル強度の改善を図る。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] An expanded palette of genetically encoded Ca2+ indicators2011
Author(s)
Zhao YG, Araki S, Wu JH, Teramoto T, Chang YF, Nakano M, Abdelfattah AS, Fujiwara M, Ishihara T, Nagai T, Campbell R
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Journal Title
Science
Volume: 333
Pages: 1888-1891
DOI
Peer Reviewed
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