2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂期におけるミオシンII調節軽鎖の新奇機能に関する研究
Project/Area Number |
11J07243
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
近藤 興 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞分裂 / 細胞骨格 / ミオシンII調節軽鎖 / AuroraB / Rho / ミッドゾーン / 収縮環 |
Research Abstract |
本研究は,哺乳類培養細胞を用いて,分裂期におけるリン酸化されたミオシンII調節軽鎖(MRLC)の機能を明らかにする事を目的とする.本年度は,昨年度までに報告した二重リン酸化MRLC(2P-MRLC)に対する特異的抗体(4F12)を用いて様々な検討を行い,以下のような事実を明らかにした. (1)予め2P-MRLCで吸収しておいた4F12抗体を免疫染色に用いた場合は,MZを初めとし,収縮環や中心体の染色は観察されなかった. (2)MZにおける2P-MRLCは,Rhoシグナルタンパク質(MKLP1,MgcRacGAP,ECT2)をそれぞれRNAiによる発現抑制,Rhoキナーゼを薬剤で阻害,またMLCKを薬剤により阻害したいずれも場合においても,その局在は変化しなかった. (3)収縮環に局在する一重リン酸化MRLC(1P-MRLC)は,Rhoシグナルタンパク質のRNAiによる発現抑制,Rhoキナーゼを薬剤で阻害のいずれの場合でも局在が減少していた. (4)Aurora BをRNAiによって発現抑制した場合,MZにおける2P-MRLCは局在が減少したのに対して,収縮環における1P-,2P-MRLCの局在は変化しなかった. (5)免疫沈降実験によってAurora Bと2P-MRLCは分裂期細胞において結合している事を明らかにした.(6)AuroraB発現抑制分裂期細胞中ではMRLC量も2P-MRLC量も変化していなかった事から,AuroraBはキナーゼではなく2P-MRLCの足場タンパク質として機能している事が示唆された. 以上の結果は,1P-MRLCと2P-MRLCの局在制御機構にRhoシグナルに依存する経路とAurora Bに依存する経路の二種類があることを初めて指摘するとともに,ミオシンII重鎖に依存しないMRLCの機能に迫る手掛りとなる成果である.
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