2013 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエに対する寄生バチ毒液の殺虫作用はなぜ寄生完了で消失するか?
Project/Area Number |
11J07256
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
降幡 駿介 鹿児島大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 寄生バチ / Asobara / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
寄生バチにとって宿主とは, 唯一の栄養源であると同時に生息場所でもあるため, 十分に成長するまでの間, 生かして利用しなければならない. にも関わらず, 本研究の対象である内部寄生蜂Alsobara japonicaの毒液は, 宿主ショウジョウバエ幼虫に対して強い殺虫作用を示す. そして, 側輸卵管の液性成分中に, 毒液の殺虫作用を解毒する成分が含まれており, これによってハエの死を防いで寄生を成立させている. 昨年度, 殺虫成分と反応するモノクローナル抗体の作製を行った. 今年度はこれを用いて殺虫成分の同定を試みた. 毒液殺虫分画のウェスタンブロット解析により, 殺虫成分はタンパク質(を含む成分)であることが示唆されたため, LC-MS/MS及びペプチドシークエンサーによりそのアミノ酸配列を解析した. 得られた配列は数十残基未満と短く, 相同性検索でも特異的なヒットはみられなかったため, 得られた配列を元に縮重プライマーを設計し, 周囲の配列を決定するべく実験を行っている. 本研究で用いている寄生バチA. japonicaは, 毒液殺虫成分の効果を側輸卵管の成分で解毒して寄生を成立させるという, これまで他種では知られていない特殊な寄生戦略をとっている. 本種と近縁種の比較は, 寄生バチの宿主範囲の決定要因, またその際に寄生戦略の違いがどう影響しているかを知るうえで有用なモデルになりうると考えられる. 寄生蜂は生物農薬としても期待される有用な生物資源でもある. 本種のような特異な例について研究を進め, 他種との比較を行うことは, 寄生蜂のより効率的な利用にも資するものであると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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