2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J07301
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中園 智晶 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海馬 / 学習 / セル・アセンブリ / オシレーション |
Research Abstract |
本年度より、二重情報課題に変わってルールスイッチング課題を用いてラット海馬からのニューロン活動の記録を試みている。二重情報課題は、単一セッションにおいて異なる認知状態をラットに持たせるものであったが、ルールスイッチング課題は学習によってラットの認知状態を徐々に変化させるものであり、時間軸こそ違えどこの二つの行動パラダイムの目的は同一である。本年度はこのルールスイッチング課題を用いて、新しいルールを学習してゆく際のニューロン活動を継続的に記録することにより、学習前は活動に関連性を持たなかったニューロンのペアが、学習に従って同期発火をみせるようになることを観測した。異なるニューロン同士がタイミングをあわせて発火する同期発火現象は、複数のニューロン集団が同時に活動することにより情報を処理すると考えられるセル・アセンブリの存在を強く示唆するものであり、その同期発火が変化したと言うことは、ルールスイッチングによる学習によって海馬のセル・アセンブリもまた柔軟に変化したことを示すものである。いまだサンプル数が十分ではないため結論を出すことは出来ないが、このようにルールのような高次概念の学習に応じて海馬ニューロンのセル・アセンブリとしての活動が変化することはいまだ十分な報告がなされていない。また解析途中ながら、局所フィールド電位(LFP)を同時記録しており、先述のようなニューロンの同期活動の変化とLFPの何らかの変化に対応を見出すことが出来れば、いまだ十分に解明されていないセル・アセンブリの柔軟な組み替わりのダイナミクスについて、新たな知見を報告しうる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
同一ニューロンを日をまたいで継続的に記録することは極めて難しい観測法であり、また日数を要するため現時点では十分なサンプル数を記録出来ていない。また、並行して進行する予定だったBMIを用いた実験も、いまだシステムのセットアップの段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
同一のニューロンの継続的記録を継続するが、もし十分なサンプル数を記録出来ない場合は、LFPの解析を主軸に据える。LFPがセル・アセンブリの活動に深く寄与していることは先行研究によって明らかにされているため、間接的な言及にはなってしまうが本研究の当初の目的を十分に達成することの出来る指標であると考えられる。またBMI実験については、現在セットアップ中であり、秋までに予備的なデータの収集を目指す。
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Research Products
(1 results)