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2011 Fiscal Year Annual Research Report

行動ダイナミクスを通したオペラント条件づけの連合学習的理解

Research Project

Project/Area Number 11J07309
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

丹野 貴行  関西学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)

Keywords学習 / ドーパミン / セロトニン / 行動ダイナミクス
Research Abstract

これまでの学習研究では定常状態の行動が調べられてきたが、学習の原理のさらなる理解には、それに至る変容過程(行動ダイナミクス)を解き明かす必要がある。本研究では、(1)行動ダイナミクスを研究する方法論の確立、(2)行動ダイナミクスを説明する多重予測誤差学習モデルの提唱・検証、(3)多重予測誤差学習モデルに対応する神経基盤の解明、の3つを柱としている。平成23年度の研究ではこのうちの(3)に取り掛かった。
全体として2種類の実験を行った。1つめは変動環境法を用いたものであった。ここでは、左右の選択肢から得られる強化割合が10回の強化子呈示ごとに変化する。一般に、強化割合が変化した直後に無選好の状態となり、その後は強化子の呈示数に応じて負の増加関数的な学習曲線が観察される。本研究ではこの学習曲線に対するd-amphetamine(ドーパミン作動薬)と8-OH-DPAT(セロトニン5・HTIA作動薬)の効果を調べた。その結果、これらの薬物は学習曲線に影響を及ぼさなかった。もう1つは、小強化子と大強化子の選択において、後者の遅延時間を徐々に長くしていくという累積遅延法を用いたものであった。一般に、遅延が無い状態では大強化子への一方的な選好、そして遅延が長くなるにつれて小強化子への選好のシフトが観察される。この場面では、d-amphetamineの投与は行動の固執性を増加させ、小強化子への選好のシフトを遅らせることが示された。また8-OH-DPATの効果は個体内では一貫しつつも、個体間では一貫しないことが示された。
以上より行動ダイナミクスにおけるドーパミンとセロトニンの役割がより明瞭なものとなった。これらの伝達物質は行動ダイナミクスに関与するものの、その影響の度合いは課題場面に大きく依存するようである。またセロトニンの、個体内では一貫しつつも個体間では一貫しないという結果は、その効果が他の機構との複雑な相互作用のうえに成り立っていることを示唆している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の予定では、米国University of Texas Health Science Center at SanAntonio、薬理学部、CharlesFrance教授の実験室において、学習曲線に対するセロトニンの効果の検討を目的としていた。実際にはセロトニンに加えドーパミンも検討対象に含めた。この点で(1)に区分される成果が達成された。

Strategy for Future Research Activity

本研究の柱の1つは、反応がいつ(反応潜時)、どこに(選択行動)起こるのかを表現する2重予測誤差学習モデルの検討である。2年目ではこのモデルの検証を目的とした基礎的データの蓄積を目指す。基本的には一年目と同様の変動環境法を用い、反応潜時のみに影響する、あるいは選択行動のみに影響すると予測される条件を順次検討していく。実験の基本的な方法は一年目とほぼ共通であり、問題となる箇所は見当たらないと考えられる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 行動分析学に対する微視-巨視論争の含意:平岡(2011)へのリプライ2012

    • Author(s)
      丹野貴行・坂上貴之
    • Journal Title

      行動分析学研究

      Volume: 26巻 Pages: 71-76

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-06-26  

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