2013 Fiscal Year Annual Research Report
銀河・銀河団の高感度硬 X 線・ガンマ線観測で拓く非熱的宇宙の探査
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11J07347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 新也 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線天文学 / 高エネルギー宇宙物理 / 半導体検出器 |
Research Abstract |
特別研究員採用第三年度目は、活動銀河核にともなうジェット構造に関して、観測データの解析と解析結果のモデリングを駆使することで、物理状態の解明を試みた。数百キロパーセクにも及ぶ活動銀河核ジェットは、銀河団ガスの加熱にも寄与することが示唆されており、そのエネルギー収支の解明は銀河、銀河団スケールでの非熱的活動を理解するうえで重要である。以下に本年度の研究内容の詳細を述べる。 活動銀河核ジェットにおいては、中心から輸送されるエネルギーが、ジェットのどこで粒子加速に消費され、放射に変換されるかは依然未解明のままである。この課題の解決を目指して私は、ジェットからの大部分の放射エネルギーを担うガンマ線帯域において、統計の許す限り時間分解した解析と変動のモデル化という新しいアプローチを選択した。激しい時間変動を特徴とするジェットの放射に関して、従来の長時間平均された多波長スペクトルに基づく解釈は十分でないと考えたためである。近年フェルミ衛星の観測によりもたらされたプレーザー(ジェットが地球方向を向いている活動銀河核)における1時間程度の単時間変動の発見をふまえ、さらに短い時間スケールでの変動を探査すべく、少数統計のもとで有効なベイズ統計を導入してフェルミ衛星の系統的データ解析を行った。その結果、一部の例外的な天体をのぞいて1時間以下での有意な変動は見つからなかった。この解析結果を投稿論文として準備中である。さらに、本解析で発見されたガンマ線フレアの短時間変動のプロファイルを単純な内部衝撃波モデルに基づいてモデル化したところ、本研究で解析したいずれのフレアについても、ジェットからの放射が、中心から1パーセク程度の位置で発生していることを示唆する結果を得た。これは従来極めて不定性の大きかったジェットの放射領域を優れた精度で見積もる方法であり、結果を別途投稿論文として準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来不定性の大きかったジェットの放射領域の位置の見積もりに関して、フレア時の光度曲線を利用した精度の良い新たな評価方法を提示した点は大きな意義があると考える。最終年度である.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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