2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブナ科樹木萎凋病原菌に対する宿主の抵抗性に関わる因子の解明
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11J07385
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鳥居 正人 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Raffaelea quercivora / 放射組織 / 道管放射組織間壁孔 / ブナ科 / 感受性 / 道管配列 / 菌糸伸展 / 組織構造 |
Research Abstract |
ブナ科樹種間のRaffaelea quercivoraに対する感受性の差異の指標は,本菌の感染後に形成される非通水域の大きさであると示唆されている.さらに,非通水域の形成には,本菌の菌糸伸展が密接に関与することが示唆されている.現在までの接種試験の結果から,菌糸伸展には,樹種間の組織構造,特に道管配列の違いが関与すると考えられていたが,外国産コナラ属樹種を用いた接種試験では,両者の間に関連はみられなかった.材内における本菌の伸展は,道管以外にも放射組織や道管放射組織間壁孔を経由することが示唆されている.そこで本研究では,樹木の組織構造,特に放射組織や道管放射組織間壁孔の構造がR.quercivora菌糸の伸展に与える影響を明らかにすることを目的とした.そのため,環孔材のミズナラとコナラ,放射孔材のアラカシとスダジイ苗木を用いて,組織構造をそのまま保持した滅菌材片に本菌の接種を行い,材内の菌糸の伸展距離と,放射組織と道管放射組織間壁孔の大きさ,密度の測定を行った.その結果,樹種間における菌糸の伸展距離には有意差は認められなかった.また,樹木個体間の組織構造の違いは,放射組織の構造と,道管放射組織間壁孔と道管配列によって判別された.さらに,放射組織の大きさと菌糸の伸展距離との間には有意な正の相関が認められた.以上のことから,R.quercivoraの菌糸伸展には放射組織の大きさが関与すると考えられたが,樹種間の本菌に対する感受性の差異には,組織構造は関与しないと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しており,すべての実験における病原菌の接種試験を終え,今後の作業はデータの解析とその取りまとめのみとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進んでおり,今後は解析を進めていくとともに,投稿論文の作成を進めていく.
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Research Products
(4 results)