2011 Fiscal Year Annual Research Report
アキラル結晶のキラル結晶への不斉変換と不斉自己触媒反応
Project/Area Number |
11J07401
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
峯木 紘子 東京理科大学, 総合化学研究科, DC1
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Keywords | 不斉の起源 / ホモキラリティー / キラル結晶 / シトシン結晶 / エナンチオトピック面 / アデニン / 不斉自己触媒反応 / 不斉開始剤 |
Research Abstract |
L-アミノ酸などに見られるように,生体関連化合物には一方のエナンチオマーが存在することが多く知られており,それらの不斉の起源とホモキラリティーに至る過程は長年にわたり謎とされてきた。 アキラルな結晶であるシトシン-水和物のエナンチオトピック面を加熱することにより,結晶水を除去して,キラル結晶が生成する条件の精査を行った。加熱するエナンチオトピック面と生成するキラル結晶のキラリティーが相関することを明らかにした。さらに,生成したキラルなシトシン結晶が不斉自己触媒反応の不斉開始剤として有効に作用し,極めて高い鏡像体過剰率のキラル分子が生成することを明らかにした。これにより,二次元のキラリティーであるアキラル結晶のエナンチオトピック面の加熱が起源となって結晶に生じる不斉と三次元のキラリティーであるキラル分子の不斉とを関連付けることが出来た。さらに,シトシン-水和物結晶からの結晶水の除去が加熱しなくても起きることを明らかにした。また,アキラルな有機化合物であるN-(2-チエニルカルボニル)グリシンがキラル結晶を形成することを見出し,生成したキラル結晶が不斉自己触媒反応の不斉開始剤となることを明らかにした。さらに,N-(2-チエニルカルボニル)グリシンのキラル結晶の絶対構造を単結晶X線構造解析により明らかにすると共に,CDスペクトルとの相関関係を決定した。また,キラル結晶の絶対構造と不斉自己触媒反応により生成する化合物の絶対配置との相関を説明するためのモデル計算を行った。さらに,アキラルなアデニンが形成するキラル結晶を用いる不斉自己触媒反応を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アキラルな結晶であるシトシン-水和物のエナンチオトピック面を加熱することによる結晶水の除去でキラルなシトシン結晶が生成する条件を確立することが出来た。さらに,キラルなシトシン結晶が不斉自己触媒反応の不斉開始剤として作用することを明らかにした。また,N-(2-チエニルカルボニル)グリシンのキラル結晶の絶対構造を明らかにし,不斉自己触媒反応に用いることが出来た。アキラルなアデニンが形成するキラル結晶を用いる不斉自己触媒反応を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
アキラルなシトシン-水和物結晶の加熱・脱水によるキラリティー発生機構の解明およびアキラル結晶からキラル結晶へと不斉変換可能なアキラル化合物の探索を引き続き行う。さらに,アキラル化合物からキラル結晶を形成する外的要因の検討を行う。
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Research Products
(8 results)