2011 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素含有リン酸塩担体によるVEGF吸着・徐放調節技術に基づく骨造成方法の確立
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11J07461
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩飽 由香利 東北大学, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リン酸オクタカルシウム / ハイドロキシアパタイト / フッ素 / 蛋白吸着能 / 血管内皮細胞増殖因子 / 乳酸グリコール酸共重合体 |
Research Abstract |
私達は以前、リン酸オクタカルシウム(OCP)の蛋白吸着能改善を目的として、2種類のF含有リン酸カルシウム(F-CaP)を作製した。チトクロムcを用い蛋白吸着挙動を評価したところ、共沈法で作製したF-CaP(CF-CaP)では吸着能が向上しなかったが、加水分解法で作製したF-CaP(HF-CaP)はOCPよりも高い吸着能を示した。この結果から、HF-CaPにチトクロムcと同じ塩基性蛋白質である血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を担持させることで、骨形成と血管新生の双方を促す新規骨再生材料の開発を着想した。さらに、多孔質構造の獲得を目的としてPLGAとの複合化を検討した。 今年度は、(1)F-CaPの細胞反応性の評価および(2)OCP/PLGA複合体の骨形成能の評価を行った。(1)では、HF-CaP、CF-CaPコーティングを施した96穴プレートにマウス骨髄由来間質細胞株ST2を播種し、細胞増殖能と骨芽細胞分化能(アルカリホスファターゼ(ALP)活性)を評価した。その結果、HF-CaP、CF-CaP間で細胞反応に有意な差が認められた。現在は、RT-PCR等を用いて更なる解析を行っている。 (2)では、顆粒径53-300μmのOCPを用い、OCP/PLGA複合体を作製した。ラット頭蓋冠に臨界骨欠損を作製し、OCP/PLGA複合体を埋入した。埋入した試料は12週後に試料を回収し、組織形態学的観察を行い、骨形成能を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はF-CaPの細胞反応性の評価を重点的に行い、F-CaP間において細胞増殖能・骨芽細胞分化能に有意な差が認められた。PLGAとの複合化に向け、細胞増殖・骨芽細胞分化を促進するF-CaPの選定は非常に重要であり、現在まで順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は動物実験を中心に研究を進める予定である。まず、今年度行ったラット頭蓋冠骨欠損におけるOCP/PLGA複合体埋入試験の解析を進め、OCP/PLGA複合体の骨形成能を評価する。良好な骨形成が得られた場合にはF-CaP群も含めた追加実験を行い、F-CaP顆粒径、F-CaP/PLGA比率などを最適化する。これに対し、PLGAの複合化によって骨再生が促進されなかった場合には、他の合成高分子・天然高分子とF-CaPの複合体を作製し、骨形成能を評価する。 優れた骨形成能を示すF-CaP/高分子複合体の確立に成功した後は、F-CaPにVEGFを担持し、血管新生能についても検討を行う。VEGF担持量、VEGF添加方法などを調整することにより、F-CaP/高分子複合体の血管新生能を向上させ、骨形成能と血管新生能の双方を促進する新規骨再生材料の開発を目指す。
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Research Products
(1 results)