2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J07491
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
関 信輔 東京海洋大学, 海洋科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 魚類精巣 / 魚類卵子 / ガラス化凍結 / 体外成熟培養 |
Research Abstract |
魚類の卵子の凍結保存・体外成熟をテーマに研究をすすめた。魚類卵子はサイズが大きく、凍結保存の成功例は未だない。サイズの小さい未成熟卵子であれば凍結の可能性があるが、未成熟卵子でも凍結は難しく、凍結法開発のための基礎的情報(低温生物学的特性)を得ることは容易ではない。そこで、予備的知見を集めるために、のちに未成熟卵子へと分化するサイズの小さい生殖細胞の凍結法の開発を行った。 メダカ・ゼブラフィッシュの生殖細胞を対象に実験を行った。細胞を凍結保存するには、細胞を脱水することが重要である。25℃では浸透圧的収縮による傷害を受けたが、処理温度を0℃に変えることによって、その傷害は軽減させることに成功した。最後に、どの耐凍剤が凍結に適しているかを調べたところ、プロピレングリコール、エチレングリコールが適していることがわかった。以上の低温生物学的特性を考慮して、実際にガラス化溶液を作製し、ガラス化凍結を行ったところ、40%前後の生存率を得ることに成功した。これらの知見、凍結条件により、未成熟な卵子の凍結が可能になることが期待される。 もし、未成熟卵子を凍結できた場合、その未成熟卵子を成熟させる方法が必要である。ひとつは、別の成魚の雌へ移植し、体内で成熟させることである。もうひとつの方法は、体外で成熟培養する方法である。現在までに、stage III(germinal vesicle stage)の未成熟卵子をDHPの添加により体外成熟させたのちに、受精孵化させることに成功している。しかしながら、その成熟培養法では、排卵卵子を得ることはできず、機械的に卵胞膜を取り除く必要がある。添加する血清をBSAからFBS、AlbuMax、KSRに変えたところ、排卵する卵子を一部得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
受け入れ研究室では、生殖細胞を別の魚に移植し、精子卵子をえる代理親魚技法を開発している。すなわち、生殖細胞の凍結保存は、精子卵子の凍結保存と同じ意味がある。現在、魚類の精巣をまるごとガラス化凍結ができ、その生殖細胞は融解後、代理親魚技法により、精子卵子まで成熟することを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
生殖細胞を対象に開発したガラス化凍結法で、メダカ・ゼブラフィッシュの卵巣の凍結保存を行い、トリパンブルー生死染色により未成熟卵子が生存しているかどうかを確認する。もし、生存していると判定される卵子が存在すれば、別の成熟雌へ移植し、成熟受精することが可能かを調べる。 凍結できる卵子のステージは、未成熟でサイズの小さいstage I,IIの卵子であることが予測される。凍結できた場合、別の親魚を用いずに、卵子を成熟させる方法(体外成熟培養法)の開発が必要である。現在開発中の培養液に、卵黄前駆物質などを添加し、更なる改良を行う。
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