2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J07491
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
関 信輔 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 魚類精巣 / ガラス化保存 / 代理親魚技法 |
Research Abstract |
魚類卵子の凍結保存・体外成熟をテーマに研究をすすめた。魚類卵子はサイズが大きく、凍結保存の成功例は未だない。受入れ研究室である吉崎研究室では、サケマスにおいて、生殖細胞の凍結保存と代理親魚技法により、凍結保存した生殖細胞由来の精子・卵子を生産することが可能であることが示されている。この方法であれば、凍結した生殖細胞由来の卵子を生産することができ、魚類の卵子を凍結保存することと同じ意味がある。その凍結保存法は緩慢法であり、より簡便なガラス化保存による凍結が可能になれば、さらに実用的な技術になる。平成23年度の研究により、メダカ精巣まるごとをガラス化保存することに成功していた。今年度は、その凍結精原細胞を代理親へ移植することにより、代理親に精子・卵子を生産させることを試みた。そして、平成24年度の研究により、ガラス化保存したメダカ精原細胞を不妊3倍体代理親に移植することにより、代理親に凍結精原細胞由来の精子・卵子のみを生産させることに成功した。メダカにおいては、近交系・野生地域集団(絶滅危惧種)の保存は喫緊の課題であるが、それら重要系統の保存が可能になった。現在、近効系・野生地域集団においても、本研究で開発した方法で、精巣まるごとをガラス化保存し、これを代理親へ移植することにより、系統を回復させることが可能かどうかを検討中である。さらに、基礎生物学研究所のバイオリソース研究室(PI:成瀬清准教授)と協力して、生殖細胞凍結バンクの構築をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
受入れ研究室では、生殖細胞を別の魚に移植し、精子卵子をえる代理親魚技法を開発している。すなわち、生殖細胞の凍結保存は、精子卵子の凍結保存と同じ意味がある。現在、魚類の精巣をまるごとガラス化凍結ができ、その生殖細胞は融解後、代理親魚技法により、精子・卵子まで成熟することを確認している。実験動物であるメダカにおいては、それらの技術は基礎生物学研究所バイオリソース研究室で実践できる技術になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
重要な実験動物であるゼブラフィッシュについても、ガラス化保存した精原細胞由来の精子・卵子を代理親に生産させる代理親魚技法の開発を行う。代理親にドナー由来の精子・卵子のみを生産させるために不妊3倍体が用いられる。ゼブラフィッシュを不妊3倍体にすると、生殖細胞と性の関係からか、すべての個体が雄になり、ガラス化保存精原細胞由来の卵子を生産できないことが予想される。この問題を解決するために、エストロジェンを添加することにより、雌化を引き起こし、移植精原細胞由来の精子・卵子の両者を生産する。 また、水産有用魚種であるサケマス・マグロにおいても、本研究で開発した精巣まるごとのガラス化保存法が応用可能かどうかを検証し、改良を行う予定である。
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Research Products
(4 results)