2012 Fiscal Year Annual Research Report
力学環境操作による細胞機能応答性の均一化とその細胞生物学的・医工学的意義
Project/Area Number |
11J07552
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 翼 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メカノバイオロジー / ストレスファイバー / 生物物理 |
Research Abstract |
本研究課題の大前提となる仮説「細胞応答のばらつきの一部は、個々の細胞が置かれる力学環境(形態、基質硬さ等)が多様であることに由来する」に基づき、もし力学環境を均一にすることが可能であれば、その細胞応答における細胞ごとのばらつきを抑制することが可能となることを立証すべく、本年度は以下の研究を行った。 新規に開発した細胞パターニング法を用いることにより細胞形態を揃えた状態で、基質上に細胞を培養、免疫蛍光染色を行った。解析したタンパク質は、細胞焦点接着斑と呼ばれるタンパク質複合体を構成する分子であり、細胞内収縮要素であるストレスファイバーと、細胞外部にあたる基質タンパク質との物理的な橋渡し構造を成すものである。四角形パターンにおいて、焦点接着斑構成タンパク質はパターンの辺縁部、つまり細胞辺縁部に局在することが分かった。また、そのリン酸化状態についても辺縁部でリン酸化されていることが確認できた。別途数値解析により細胞内応力の分布が細胞辺縁部で大きくなることを確認していることから、分子の局在には力が関与することが示唆された。今後、細胞が基質に対して作用する力を実験的に計測することで、より詳細に力と分子の局在化ならびに活性化との関連を明らかにしていく方針である。また、細胞パターニング法によりストレスファイバーも局在化させることを確認できていることから、細胞部位を区別した形で生物物理的な性質を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞形態を制御した基質において、細胞焦点接着斑の局在性およびそのリン酸化状態を免疫蛍光染色により確認しており、その分布が細胞内応力の分布と相関することから力と分子の活性化との関連が示唆され、本課題の大前提となるデータが得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行った、細胞焦点接着斑構成タンパク質の局在化とリン酸化状態の解析について、より多くの候補タンパク質との関連を明らかにするとともに、基質硬さを変化させることや、細胞内収縮力を阻害剤ならびに分子生物学的手法により調節することで、力と分子の活性化の詳細な機構について明らかにすべく推進していく方針である。
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Research Products
(17 results)