2012 Fiscal Year Annual Research Report
ニンジン培養細胞におけるストレス応答性遺伝子 DcMYB1 の発現制御機構の解析
Project/Area Number |
11J07669
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宮原 平 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アントシアニン / アシルグルコース依存型アントシアニン配糖化酵素 |
Research Abstract |
ニンジン培養細胞におけるストレス応答性遺伝子DcMYB1の発現を抑制していることが示唆された転写抑制因子であるDcEILはエチレンシグナル応答性転写調節因子と相同性が高いことが明らかとなっていた。これよりDcEILのエチレンシグナル伝達経路への関与を調べるため、シロイヌナズナ植物体を用いた相補性試験を行うべく、シロイヌナズナのエチレン非応答性株(ein3)の種子を購入し、作成しておいたDcEIL過剰発現用コンストラクトをアグロバクテリウムにより導入した。作成した相補植物体(DcEIL/ein3)は黄化芽生え時のエチレン添加による試験において、コントロールである相補植物体(EIN3/ein3)と同様な根の成長阻害および茎頂のフックと呼ばれる特徴的なエチレン応答による表現形が観察された。このため、DcEILはニンジン培養細胞においてストレス応答経路およびエチレンシグナル伝達経路の双方に関与することが示唆された。一方、DcEILタンパク質を用いたDcMYB1プロモーター上の結合認識配列の特定に向けゲルシフトアッセイの条件を検討したがポジティブな結果は得られず、これ以上の研究続行は困難であると判断し、昨年度は予備実験として行っていた「シロイヌナズナにおけるアシルグルコース依存型アントシアニン配糖化酵素の解析」を行った。この研究結果よりシロイヌナズナにおいて初めてAAGT活性の検出に成功し、BGLU10がAAGTをコードしていることを示した。また、これまでのAAGTsとは異なりアントシアニン基本骨格への配糖化ではなくアントシアニン基本骨格へ修飾されたアシル基に配糖化を行う新規の基質特異性であることが示された。さらに、今回のクマロイル基への配糖化反応が示されたことにより、これまでの他の知見と合わせてシロイヌナズナにおけるアントシアニン修飾酵素が全て明らかとなった。加えて、AAGTsは花特異的な酵素ではなく、植物種によっては葉においてもアントシアニンの配糖化を触媒する酵素であることが示され、本研究によりAAGTの新たな知見を獲得するに至った。
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Research Products
(4 results)