2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J07684
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
青沼 宏佳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 節足動物 / 蚊 / マラリア |
Research Abstract |
本年度は、吸血時およびマラリア原虫侵入時に、ハマダラカ中腸において起こる構造変化と細胞動態に注目し、解析を実施した。マラリア原虫が蚊体内においてオーシストへと発育するためには、中腸を通過することが必須である。一方蚊の中腸では、原虫の侵入により損傷を受けた細胞は排除され、分裂・分化能をもつ細胞が損傷部分を埋めると予測された。昨年度までに、蚊の中腸に分裂能をもつ細胞が存在すること、および吸血が中腸細胞のターンオーバーを活発化することを明らかにした。そこで本年度は、原虫侵入時の中腸構造に注目し、各細胞を詳細に観察した。すると、マラリア原虫オーキネートが侵入している中腸では、細胞の分裂・分化が活性化していることが示唆された。また、中腸細胞の縦断面の観察により、一層に並ぶ中腸細胞から突出している細胞が存在することが明らかとなった。中腸体腔側では両隣の細胞が隙間無く接触しており、従って突出した細胞が押し出されている状態となっていた。そこで、このような細胞において細胞死やストレス応答に関与する因子が活性化していると予測し、各種抗体による免疫染色法を用いて中腸での発現解析をおこなった。すると、マラリア原虫の侵入により損傷を受けた中腸細胞では、ストレス応答因子が活性化している可能性が示唆された。これまでの結果から、ハマダラカ中腸では細胞の入れ替わりが活発に起こっていること、そして吸血刺激により細胞の分裂・分化が活性化されることが示された。そして、この細胞の入れ替えが、中腸の恒常性維持の役割を果たしていることが示唆された。また、マラリア原虫を含む病原性微生物が中腸細胞内に侵入した場合には、自身の1細胞内に病原体を閉じ込め、これを細胞ごと中腸構造から押し出すことによって他の細胞への侵入を防いでいると考えられる。このメカニズムによって体内の病原体数を減少させ、ダメージを制御していると推測された。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(2 results)