2011 Fiscal Year Annual Research Report
M理論に由来する4次元・2次元場の理論の双対性―その検証と応用
Project/Area Number |
11J07749
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
柴 正太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | M理論 / 超弦理論 / 双対性 / M-brane / ゲージ理論 / 共形場理論 |
Research Abstract |
平成23年度の研究目標は、M理論に由来するとされる4次元と2次元の場の理論の双対性が、成り立つために必要な条件を明らかにすることであった。具体的には、4次元ゲージ理論の分配関数と2次元共形場理論のある種の相関関数が一致することを確認するのであるが、その結果、この双対性を議論し得るすべての場合において(4次元理論のすべてのゲージ群の場合に)、少なくとも主要項については一致が確認でき、双対性が成り立つことを示すことができた。特筆すべきは、この双対性において、4次元理論と2次元理論の間に成り立つパラメータの関係が完全に特定できたことである。また、今まで取り扱いが不明であった因子(特殊なゲージ群の場合に現れる発散因子)に物理的な解釈を与え、それをも含めたより一般的な形でこの汲対性が成り立っていることを示すこともできた。 さらに、この双対性はM理論の物理、特にM5-braneと呼ばれる存在の性質に由来したものであると考えられているが、そのM5-braneと関係の深いM2-braneについて、数値計算を使った新たな側面から研究を行い、成果を上げることができた。この研究はM2-braneと超弦理論に存在するD-braneと呼ばれる存在との関係を明らかにするものであり、M5-braneとD-braneとの関係にも重要な示唆を与えてくれるものと期待している。従って、この研究を引き続き進めていくことにより、研究課題としている双対性に関する理解が、さらに違う側面から深められるものと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、当初予定していた研究目標を確実に達成しており、さらに次年度の研究に繋がる新たな議論の方向性を得ることもできている。従って、本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究目標は、23年度に挙げられた成果を意識しつつ、M5-braneの性質を探っていくことである。一番理想的なのは、新しい代数(Lie 3-代数など)を用いてM5-brane上の場の理論を定式化することである。一方で、M5-braneが存在するM理論の系(11次元時空の重力解)に注目し、重力解の立場からM5-braneと双対性の関係を掘り下げたいとも考えている。特に、この重力解が2次元場の理論と同じ数学的な構造(Toda方程式・Toda理論)を含んでいることに注目することにより、11次元時空におけるM5-braneの配置と4次元・2次元理論の関係を明らかにできるものと期待している。
|
Research Products
(6 results)