2012 Fiscal Year Annual Research Report
M理論に由来する4次元・2次元場の理論の双対性-その検証と応用
Project/Area Number |
11J07749
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
柴 正太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | M理論 / 双対性 |
Research Abstract |
2年度目の計画は、研究課題としている4次元・2次元場の理論の双対性(AGT関係式)がどこまで広い範囲の理論で成り立つかを議論すること、そしてそれらの議論を参考にしてこの双対性の背後にあるM理論(特にM5ブレーンと呼ばれる存在)のダイナミクスを定式化の方法を提案することであった。このような計画に基づいて研究を遂行してきた結果、以下のような成果を挙げることができた。 【双対性の成り立つ範囲に関する研究】 1年度目までの研究で、ラグランジアンで定式化できる4次元場の理論に関しては、非常に広い範囲で双対性(AGT関係式)が成り立つことが確かめられた。今年度は、ラグランジアンでは定式化できない4次元場の理論に関しても確かに双対性が成り立っており、特殊な性質を持つ2次元場の理論と対応することを示すことができた。 【M5ブレーンのダイナミクスの定式化に関する研究】 最近Lie3-代数と呼ばれる新しい代数を用いた、ダイナミクスの定式化が提案されているため、今年度、私はその議論を厳密に行うことにより、M5ブレーンのダイナミクスの主要な性質を備えたラグランジアンをあと一歩で書き下せそうなところまで議論を詰めることができた。 【M5ブレーンと深い関係にあるM2ブレーンに関する研究】 今年度はM2ブレーンの系の分配関数を数値計算により精密に計算し、その性質について議論を行った。また、非局所的な演算子としてWilsonループに注目し、M2ブレーンの系におけるこの演算子の期待値をやはり数値計算の手法で計算し、その性質について議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった、4次元・2次元場の理論の間の双対性が成り立つ範囲を明らかにする研究、M5ブレーンのダイナミクスを明らかにする研究は、期待通り進んでおり、さらにM5ブレーンと関係の深いM2ブレーンのダイナミクスまで研究を行うことが出来ているから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として予定しているのは、M5ブレーンのダイナミクスと4次元理論の関係を明らかにすることである。これについては、有限温度においてM5ブレーンを考え、その系の安定性を議論することにより、M理論において安定なM5ブレーンの系において実現できる4次元理論とはどのような性質を持ったものか、議論ができると考えている。関連する物理量を係数まで議論するのは難しいかもしれないが、様々な変数の依存性はかなり正確に議論できるものと予想している。
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Research Products
(8 results)