2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J07758
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
田中 信行 東京女子医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 非侵襲計測 / 弾性計測 / 非接触計測 / 細胞シート / 上皮細胞 / 線維芽細胞 / 微小変位計測 / 液体培地操作 |
Research Abstract |
本課題では,再生医療で用いられる細胞シートを取り扱う際に重要な指標となる細胞シートの結合度評価を行うことを目的として,本年度は以下の3つの研究課題を実施した. 1.顕微鏡下非侵襲弾性計測システムの開発 細胞シートを構成する細胞同士の結合や細胞と培養基材との結合度を評価するためのシステムを構築した.本システムは空気噴流を使って非接触力印加を行い,シート表面に生じた変位を顕微鏡の対物レンズの焦点面変位から計測することで,細胞シートに一切触れることなく弾性計測が可能であるという特徴を有する.予備実験としてPDMSを対象として弾性計測実験を行っている. 2.細胞シートの弾性計測実験 開発した顕微鏡下非侵襲弾性計測システムを用いてラット口腔粘膜上皮細胞シートを対象として実験を行った.実験結果から,細胞シートを覆っている液体培地を非接触的に操作可能であること,力印加時に発生した10μm程度の細胞シート変形を計測したこと,100kPaの圧力で細胞シートが培養皿表面からはがれ破壊することをそれぞれ明らかにした. 3.パターン構造を有する細胞シートの作製 一般的に細胞シート作製に用いられる細胞は無方向性に増殖するため,細胞シートの弾性や強度に異方性は無いと考えられる.一方,実際の生体組織では部位にとって力学的,化学的な作用により特定の方向にのみ増殖が生じる場合や複数の細胞がパターン構造を作る場合などが見られる.このような部位は細胞間の結合度にも方向性があると考えられる.そこでマイクロコンタクトプリントと呼ばれる手法を用いてパターン構造を有する細胞シートの作成を行った.生体内で弾性繊維を作り出す線維芽細胞のパターニングに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり,細胞シートを対象とした非侵襲計測実験を完了し,加えて新たな計測対象としてのパターン構造を有する細胞シートの作製のための基礎実験を完了しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の問題点とその対応策を以下に示す. ・変位計測分解能 細胞シートレベルの大きさから,細胞骨格などの細胞内小器官の変形までも取り込んで細胞シートの結合度を評価するためには現在のシステムよりもサブマイクロメートルオーダの分解能と精度に高める必要がある.対応策として,共焦点レーザ顕微鏡の利用を考えており,細胞シート変形挙動の高分解能計測と3次元構造解析を予定している.
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