2013 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェンの非平衡キャリアダイナミクスを利用した新原理テラヘルツレーザの研究
Project/Area Number |
11J07762
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 隆之 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テラヘルツ / グラフェン / 時間分解計測 / プラズモン共鳴 / レーザ発振 |
Research Abstract |
本研究は、室温動作可能な集積型の小型コヒーレントテラヘルツ光源の実現を目的とし、グラフェンの非平衡キャリアダイナミクスを利用した新原理テラヘルツレーザを創出するものである。本年度の成果としては、1. 前年度に引き続き、新実験系の構築をおこなった。前年度にテラヘルツ光源として動作が確認できなかったテルル化亜鉛結晶の代替として市販のテラヘルツ時間分解計測モジュールを導入し、これに同期する高強度赤外パルスを用意することで、計画していた実験系の構築を試みた。この系の構築は年度内に完了しなかったが、赤外励起光の光路および遅延装置等を配置することにより、光学励起グラフェンのテラヘルツ利得発生のメカニズムを精査することが可能になる。2. 前年度に設計した、デュアルゲート部に分布帰還型の周期構造を導入したグラフェンFETについて試作および評価をおこなった。その結果、ゲート絶縁膜の剥離が起こりやすく、また、ゲートリークが大きいことがわかり、期待したトランジスタ動作を確認することはできなかった。今後の設計では絶縁膜の材料や膜厚の検討が必要である。3. 既存の近接場赤外励起・テラヘルツプローブ・赤外プローブ時間分解測定系により、光学励起グラフェンにおいて生じる反転分布および負性導電率に起因するテラヘルツ利得の生じる位置のマッピング測定をおこったところ、光学励起グラフェンの表面においてプラズモン・ポラリトンを励起する偏光方向にのみ巨大な利得を観測した。これにより、グラフェン単層による利得限界 : 2.3%を大きく上回る利得を得る可能性を示した。以上の成果2. および3. に、前年度までのプラズモン共鳴に関する成果を組み合わせ、新原理テラヘルツレーザの構造を提案した。交付申請時の研究実施計画で示したレーザ設計論の体系化までは至らなかったものの、将来のテラヘルツ応用の実現に向け、大きく貢献することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(21 results)