2011 Fiscal Year Annual Research Report
Dronpaを用いたライブイメージングによる細胞内G-アクチン濃度の時空間的測定
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11J07828
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 友朗 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ライブイメージング / Dronpa / ラメリポディア / 細胞運動 / コフィリン |
Research Abstract |
本年度は、s-2FDAP法による細胞内G-アクチン濃度のタイムラプス測定系を利用して、薬理処理やアクチン関連因子の活性阻害による刺激依存的なラメリポディア形成や細胞内G-アクチン濃度の時間的変動への影響を解析した。以下に示す成果内容を示す。 1)アクチン重合阻害剤Latrunculin A処理による細胞内G-アクチン濃度への影響 Latrunculin A (LatA)は細胞内のG-アクチンを捕捉し、F-アクチンの重合を阻害する事が知られている。そこで、ラメリポディアを伸ばしているMCF7細胞にLatA処理を行い、その際の細胞内G-アクチン濃度と細胞形態の変化をs-FDAP法を用いて観察した。その結果、LatA処理後FDAP量が上昇しラメリポディアが退縮した。以上の観察結果から、s-FDAP法によってLatA処理による細胞内G-アクチン濃度が上昇した事が確かめられ、またLatA処理はラメリポディアにおいて形成されたF-アクチンの速やかな脱重合を引き起こしている事が示唆された。 2)コフィリンの不活性化は刺激依存的なアクチン重合やラメリポディア形成に必要な細胞内G-アクチン濃度を低下させる。 アクチン脱重合因子コフィリンは、リン酸化によって活性が負に制御されており、その活性はラメリポディア形成に必須である事が知られているが、その詳細な役割は不明である。そこで、コフィリンの不活性化キナーゼであるLIMキナーゼ1(LIMK1)を過剰発現させたMCF-7細胞における刺激依存的な細胞内G-アクチン濃度の変動をs-FDAP法により解析した。その結果、コフィリンの不活性化細胞では刺激後のG-アクチン濃度の減少、及びラメリポディアの伸長が抑制された。この事から、コフィリンの活性はラメリポディアを伸長させるために必要なG-アクチン濃度の維持に必須である事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、s-FDAP法による細胞内G-アクチン濃度の時間的変動の測定を行い、測定系の有効性を実証するとともに、アクチン脱重合因子コフィリンの刺激依存的な細胞運動における重要性を明らかにした。これらの成果はThe Journal of Cell Biology及びBioArchitectureに掲載された(項目13参照)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、s-FDAP法を応用した細胞内G-アクチン濃度の空間分布の測定系の確立を行い、さらに多点タイムラプス測定系の構築を目指す。また、アクチン関連タンパク質の機能解析、特にコフィリンとその活性を制御するLIMキナーゼ・Slingshotの機能解析を目指し、これらの過剰発現や発現抑制が細胞内G-アクチン濃度の時間的・空間的変動に与える影響を解析する。
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Research Products
(2 results)