2012 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング異常によるPOLDIP3の機能喪失に着目したALS病態機序の解明
Project/Area Number |
11J07914
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
志賀 篤 新潟大学, 脳研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 / POLDIP3 / スプライシング |
Research Abstract |
これまでの研究で申請者らは,TDP-43によってスプライシングが制御される新規遺伝子として,Polymerase delta interacting protein3(POLDIP3)を同定した.POLDIP3は,exon3のin-outにより,全長型のPOLDIP3-variant1,exon3欠損型でin-frameの蛋白質を発現するPOLDIP3-variant2の2つのtranscript variantがあることが知られている.申請者らは,TDP-43の発現抑制によりexon3欠損型であるPOLDIP3-variant2の発現が増加する事を明らかとした. POLDIP3は,S6K1の基質としてmTORシグナルに関わり,細胞の成長に関わる.実際にPOLDIP3をノックダウンして細胞の大きさをフローサイトメーターで測定すると,コントロールに比べて,約10%,細胞の大きさが減少した.一方,TDP-43をノックダウンすると,POLDIP3ノックダウン時の細胞と同程度の大きさの減少を示した.この結果から,POLDIP3 variant-2は,variant-1の機能を持たない,機能低下型POLDIP3である可能性が示唆された. この結果をより確かなものとするために,POLDIP3 variant-1を一過性に発現させることで,細胞の大きさの減少に改善を認めるかを検討した.結果,variant-1一過性発現細胞では,約25%,大きさの改善を認め,TDP-43ノックダウンによる細胞の大きさの減少に,POLDIP3が関わっていることが示された.一方,variant-2一過性発現細胞株では,大きさの改善が10%に留まっており,このことから,variant-2が機能低下型のPOLDIP3であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、スプライシング異常によるPOLDIP3機能低下に着目したALS病態機序の解明、である。今回我々は、スプライシング異常によりPOLDIP3機能低下が起こること、を見出した。加えて本研究に関する論文も受理され、概ね順調である、と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
運動神経細胞におけるPOLDIP3の役割に関する報告は、これまで存在しない。これを検討するためには、運動神経細胞を用いた解析が不可欠である。そこで申請者は、既に運動神経細胞を用いた研究に精通した、Dr.Brian氏のもとで、運動神経細胞におけるPOLDIP3の役割を検討することとした。先の結果から、POLDIP3スプライシング異常は、POLDIP3機能低下を引き起こす、と考えられる。そこでまず申請者は、マウスES細胞およびヒトips細胞より分化した運動神経細胞にて、レンチウイルスを用いてPOLDIP3の発現を抑制し、その影響を検討する。具体的には、細胞死、神経突起の伸張、細胞体の大きさ、等を検討する。次に、in vivoにてPOLDIP3の運動神経細胞への役割を検討するため、POLDIP3ノックダウンレンチウイルスを脊髄に注入し、表現系および病理学的な解析を行い、その役割を明らかとする。
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Research Products
(1 results)