2012 Fiscal Year Annual Research Report
ケチミン類の二重活性化を鍵とする効率的四置換不斉炭素構築法の開発
Project/Area Number |
11J07922
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 真志 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉合成 / ケチミン / 二重活性化 / 四置換不斉炭素 / アジリジン / 酸塩基協奏触媒 |
Research Abstract |
近年の高機能性有機化合物:ファインケミカル・医農薬品類において、光学活性α-またはβ-アミノ酸およびその類縁体は非常に大きな役割を果たしている。特にこのような分子の中で四置換不斉炭素を有する化合物群はラセミ化の心配が無く、立体配座の安定性も高いために高機能性が期待されているが、天然には存在しない化合物群であるために、効率的な合成手法の開発が必要とされている。そこで私は、高度な不斉反応場設計による求核剤、求電子剤を同時に活性化する二重活性型の触媒を用いることにより、これまで困難であったケチミン類の普遍的な合成手法の確立を目指して研究を行っている。 1.新規ルイス酸・ブレンステッド塩基協奏触媒の開発とメソアジリジンの触媒的不斉非対称化反応今年度は当研究室のこれまでの研究を背景に、求核剤、求電子剤を同時に活性化する二重活性化型触媒として新規不斉単核亜鉛触媒の開発を行い、亜リン酸エステルによるメソアジリジンの不斉非対称化反応の開発に成功した。特にこの反応では、適切な保護基を選択し、開発した新規不斉触媒を用いないと十分の収率・選択性は得られない。本研究はアジリジンに対する初の亜リン酸エステルによる不斉非対称化反応として非常に重要であり、これまで困難であった光学活性なβ-アミノボスホン酸へ誘導することにも成功している。 2.ルイス酸・ブレンステッド塩基協奏触媒を用いたケチミンへの不斉ビニロガスマンニッヒ反応 光学活性なブテノライド化合物誘導体は、様々な生理活性物質や医農薬品合成の中間体として非常に重要なビルディングブロックである。特に、イミン類に対する不斉ビニロガスマンニッヒ反応はこれら化合物を効率的に与える手法であるが、これまで用いられているイミン類はアルジミンや活性型ケチミンに限定されていた。そこで、当研究室で開発した酸塩基協奏触媒を用いることで、より一般的なケチミンへの不斉ビニロガスマンニッヒ反応の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回開発したルイス酸・ブレンステッド塩基協奏触媒は、様々な求核剤及びケチミンを含めた求電子剤を同時に活性化する二重活性化型触媒として機能することが分かっており、今後様々な反応の開発へ着手する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究方策として、ケチミンに対する不斉ビニロガスマンニッヒ反応の展開として、様々な生理活性物質への誘導を図る。また、スルホニルイミデートなどの求核剤にヘテロアリール基を導入した新規求核剤の開発を行い開発した触媒と組み合わせることにより、新規な不斉反応の開発を図る。
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